1) むくみが現れてきた場合、水分を控えた方が良いのでしょうか?
むくみに対しては、水分よりも塩分を控えましょう。
塩分摂取量が増えると、体は水分を取り込んで塩分を薄めようとするため、のどが
渇きます。水分量が増えると、「むくみ」として現れることがあります。
また、体内の水分量が増えすぎると血管が圧迫されるようになるため、血圧が上昇
して心臓に負担をかけしまいます。心不全などによって、むくみが生じることもあ
るので、むくみが全身に現れた場合には、速やかにご相談ください。
2) 「スイカは腎臓に良い」という話を聞いたのですが、本当ですか?
この話は、腎臓が正常に働く元気な状態であれば……の話です。
慢性腎臓病の患者さんなど、腎機能が低下している方にとっては、むしろ「スイカは
NG」で食べない方が無難です。
スイカの約90%は水分であり、さらにカリウムが非常に多く含まれています。健康な
腎臓であれば、スイカの水分とカリウムによる利尿作用は血圧を下げる効果にもつな
がるため、腎臓に良いと言えるでしょう。
しかし、腎機能が低下している場合には、スイカの水分とカリウムがきちんと尿で排
泄しにくい状態なので、逆にむくみ・高カリウム血症を引き起こしたり、心臓に負担
をかけて不整脈などを引き起こしたりする恐れがあります。
スイカ以外にも、みかん・干しブドウ・生野菜・ひじきなどカリウムが多く含まれます。
気をつけましょう。
3) 「IgA腎症」「ネフローゼ症候群」「慢性腎不全」「慢性腎臓病」と様々な病名を言われたのですが、どれが正しい病名ですか?
・慢性腎臓病(CKD)……慢性に経過するすべての腎臓病の総称。
腎障害と糸球体ろ過量(GFR値)に基づいて定義され、
近年使用されている新しい概念。
・IgA腎症……腎臓病の原因となっている「慢性糸球体腎炎」をさらに分類した病名
・ネフローゼ症候群……極端に尿たんぱくが出ている状態(病名ではなく状態を指す)
・慢性腎不全……時間をかけて、腎臓のろ過機能が正常の30%以下になった状態を指した病名
「慢性腎臓病」という大きな枠組みのなかでも、腎臓病の原因になっている腎臓の病
名、現れている現象、腎臓の状態などで色々な呼び方があります。
自己管理の方法や制限は患者さんごとに異なりますので、ご自身の状態がよくわから
ないなど疑問点や不明点がある場合には、お気軽にご相談ください。
4) 慢性腎臓病となっても、食事療法や薬物療法で抑え続け、将来的に人工透
析にならずにいられるものなのでしょうか??
慢性腎臓病の原因となる疾患や状態によっても違いますので、必ずしも人工透析にな
らずに済むとは言い切れませんが、早期からしっかりと取り組んでいけば進行を遅ら
せることが期待できます。
腎臓や尿で気になることがありましたら、お気軽にご来院ください。
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慢性腎臓病(CKD)とは
あなたの腎臓は大丈夫?
腎臓のしくみと働き
慢性腎臓病の定義・診断基準
慢性腎臓病の症状
慢性腎臓病になりやすい人
慢性腎臓病の検査
慢性腎臓病の治療① 生活習慣の改善
慢性腎臓病の治療② 薬物療法
院長から一言
文責
腎臓専門医
総合内科専門医 木村 仁志