糖尿病

糖尿病 Q&A 病気編

  1. きむら内科小児科クリニック
  2. 内科
  3. 糖尿病 Q&A 病気編

目次

Q. 糖尿病と気付くにはどうしたらいいの?
Q. 1型糖尿病と2型糖尿病の違いは何ですか?
Q. 自分が糖尿病かどうか何を見ればいいの?
Q. 糖尿病って自覚症状あるの?
Q. 糖尿病は痛いの?
Q. しょっぱいお菓子なら糖尿病にならないの?
Q. 甘いものばかり食べてると糖尿病になる?
Q. 糖尿病って日本に何人いるの? 世界に何人いるの?
Q. 1型糖尿病は大人になったら完治しないのか?
Q. 2型糖尿病は完治するの?

Q. 糖尿病と気付くにはどうしたらいいの?

 糖尿病初期の場合は、自覚症状がない場合がほとんどです。

症状がないからといって放置しておいていいものではありません。

早期発見して早期治療を始めることが大切です。

 そのためには健康診断を年に1回は受けていただいて、その結果をご自身でちゃんと確認していただくことが大切です。

Q. 1型糖尿病と2型糖尿病の違いは何ですか?

糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病があります。

1型糖尿病はインスリンを作る膵臓にあるβ細胞が何らかの原因により破壊され、インスリンを体内で作ることができなくなることが原因です。

ですので、基本的に治療はインスリン治療になります。

インスリンが治療に必須なため、インスリン依存性糖尿病とも呼ばれます。

インスリンの自己注射が必要ですが、毎食後のインスリン自己注射の代わりに、インスリンポンプ療法といって自動的に常にインスリンが体内に入るような機械を体に装着する治療方法もあります。

2型糖尿病は食事や肥満、運動不足などによりインスリンの分泌が不足したり、インスリンの効きが悪くなることが原因です。

ですので、治療の基本は、食事療法や運動療法による生活習慣の改善です。

そのうえでインスリンの分泌を良くしたり、効きを良くするようなお薬を内服し、それでもダメな場合は、インスリン注射による治療をすることもあります。

ちなみに、日本人糖尿病患者さんの9割は2型糖尿病です。

Q. 自分が糖尿病かどうか何を見ればいいの?

 一番簡単な方法は、健康診断の早朝空腹時血糖値とHbA1cを確認することです。

早朝空腹時血糖値が110mg/dl未満、HbA1cが6.5%未満であれば、正常です。

 もう少し詳しく検査を希望する場合は、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTTといいます)という検査を行います。

 これはあらかじめ75gのブドウ糖を溶かした糖液(サイダーのような味)を飲んで、1時間後、2時間後にも採血をすることで血糖の推移を詳しく測ります。その値の推移で「正常型」「境界型」「糖尿病型」を判定します。
 また、インスリン分泌能を測ったり、インスリン抵抗性といって、インスリンの効き具合を評価することもできます。

お問合せはコチラ

Q. 糖尿病って自覚症状あるの?

 糖尿病の初期には全く自覚症状はありません。

高血糖の状態が続くと、のどの渇き、多飲、多尿等の症状が出てきます。

 高血糖になると尿糖といって、余った糖分が尿に漏れてきます。

そうすると尿が濃くなり、浸透圧といって水分を引っ張る力が強くなるので、尿量が増えます。(多尿)

そうすると体は脱水状態になるので、のどが渇き、水分を摂るという形になります。

 次に、体重減少が挙げられます。

通常はインスリン作用によりブドウ糖は血液中から筋肉組織や脂肪組織に取り込まれ、エネルギー源として利用または貯蔵されます。

しかし、インスリン作用が著しく低下すると、血液中のブドウ糖を脂肪組織や筋肉組織などに送り込めなくなるため、体は脂肪組織の中性脂肪や筋肉組織のタンパク質を分解してエネルギーとして利用しようとするため、体重減少がみられるようになります。

糖尿病というと肥満のイメージがあると思いますが、体重減少は重症の糖尿病で見られる症状です。

ですので、糖尿病といわれている方で体重減少が見られる場合は、早急に専門的な検査や治療を受ける必要があります。

 また、意識障害を起こすこともあります。

糖尿病の方はインスリン作用が低下しており、血液中からうまくブドウ糖を取り込むことができず、エネルギーとして使えないので、ブドウ糖の代わりに脂質をエネルギーとして使おうとします。

そうすると分解の過程で大量のケトン体が発生します。

ケトン体は酸性物質ですので、大量に発生すると体が酸性に傾いて意識障害を起こします。

これを糖尿病ケトアシドーシスといい、重篤な状態です。

すぐに入院してインスリン投与による加療が必要です。

Q. 糖尿病は痛いの?

糖尿病自体で痛みを含め自覚症状が出ることはありません。

ただし、糖尿病で怖いのは合併症です。

多彩な合併症がありますが、その中には痛みを伴うものもあります。

代表的なものでは心筋梗塞があります。

心筋梗塞とは心臓の血管が詰まることによって心臓の筋肉が血流不足で死んでしまう病気で命にかかわります。

血管が詰まると胸痛といって胸の締め付けられるような痛みが出ることがあります。

また同じように足にいく血管が詰まる病気を閉塞性動脈硬化症といいますが、足先が血流不足で、冷たくなったり、痛みが出たり、場合によっては血流不足で組織死んで(壊死といいます)、腐ってきてしまうこともあります。

これによる痛みはかなりの痛みです。

状態がよくない場合は、その部分だけ手術で切断することもあります。

Q. しょっぱいお菓子なら糖尿病にならないの?

答えはNOです。

血糖値は、おもにインスリンとグルカゴンというホルモンの作用によって調節されており、食事や運動、薬物、そのほかのホルモンなどの多くの因子に影響されています。

 食事をすると血液中のブドウ糖が増え、血糖値が上がります。

そうすると、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むためにインスリンが分泌され、血糖が下がります。

 3大栄養素といわれる炭水化物、タンパク質、脂質では、それぞれ血糖変動に与える影響が異なります。

糖質と食物繊維からなる炭水化物は血糖値がすぐに上昇する栄養素です。

同じ炭水化物でも、含まれる糖質と食物繊維のバランスの違いで、血糖値へのお影響度は異なります。

 さて、ご質問についてですが、血糖値は甘いものだけで上がるわけではありません。

上にお話ししたように炭水化物というのは、糖質と食物繊維からできていて、この糖質が血糖を上昇させます。

したがって糖質が含まれる食物はしょっぱいものでも血糖を上昇させます。

ポテトチップス、おせんべいなども炭水化物に分類されます。

したがって高血糖の要因となりますので注意が必要です。

お問合せはコチラ

Q. 甘いものばかり食べてると糖尿病になる?

答えはYESでもありNOでもあります。

血糖値は、おもにインスリンとグルカゴンというホルモンの作用によって調節されており、食事や運動、薬物、そのほかのホルモンなどの多くの因子に影響されています。

 食事をすると血液中のブドウ糖が増え、血糖値が上がります。

そうすると、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むためにインスリンが分泌され、血糖が下がります。

 3大栄養素といわれる炭水化物、タンパク質、脂質では、それぞれ血糖変動に与える影響が異なります。

糖質と食物繊維からなる炭水化物は血糖値がすぐに上昇する栄養素です。

同じ炭水化物でも、含まれる糖質と食物繊維のバランスの違いで、血糖値へのお影響度は異なります。

 さて、甘いものは基本的に糖質の塊ですので、高血糖のリスクは非常に高くなります。

糖尿病になる可能性も高いと思います。
 
 ただし、上でも説明したように、血糖値は食事だけではなく、それ以外の様々な要因の影響を受けます。

しっかり量を管理して、運動をしっかりして、肥満に注意していれば、糖尿病になるとは限りません。

ですが、基本的にはリスクは高いので、甘いものはほどほどに控えていただくのがよろしいかと思います。

Q. 糖尿病って日本に何人いるの? 世界に何人いるの?

 糖尿病有病者と糖尿病予備群は合わせて約2,000万人いるといわれています。
 
 平成28年「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。

糖尿病が強く疑われる者の人口に対する割合は男性16.3%、女性9.3%であり、年齢が高いほど糖尿病有病者の割合が高くなる傾向にあります。

また糖尿病有病者の割合は最近20年間で増加傾向にあります。

平成28年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)


 一方世界ではどうでしょうか?

 国際糖尿病連合(IDF)の発表した「IDF 糖尿病アトラス 第9版」によると、世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2019年現在で糖尿病有病者数は4億6,300万人に上り、2017年から3,800万人増えています。

 糖尿病有病者数は、有効な対策を施さないと、2030年までに5億7,800万人に、2045年までに7億人に増加すると予測されています。

 2019年の20〜79歳の成人の糖尿病有病率は9.3%で、11人に1人が糖尿病と推定されています。65歳より上では5人に1人が糖尿病です。

Q. 1型糖尿病は大人になったら完治しないのか?

糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に分かれます。

1型糖尿病はインスリンを作る膵臓にあるβ細胞が何らかの原因により破壊され、インスリンを体内で作ることができなくなることが原因です。

2型糖尿病は食事や肥満、運動不足などによりインスリンの分泌が不足したり、インスリンの効きが悪くなることが原因です。

日本人糖尿病患者さんの9割は2型糖尿病です。

さて、1型糖尿病は治るのかという質問ですが、残念ながら治癒することはありません。

インスリンが自分の身体で作れないので、外からインスリンを常に入れてあげる必要があります。

ですが、現在治療法はかなり進歩してきており、しっかり血糖コントロールをすることにより、普通の方と同様の生活を送ることが可能です。

Q. 2型糖尿病は完治するの?

1型糖尿病は完治しないとお話ししましたが、2型糖尿病はどうでしょうか?

完治といえるかどうかは難しいところですが、食事療法や運動療法を行うことによって、内服していた薬を中止することは可能です。

ですが、食生活が乱れてしまうと再び血糖コントロールは悪化してしまいます。

そういう意味では完治することはなく、うまく付き合っていく病気と言えるかもしれませんね。

お問合せはコチラ

こちらのページもご覧ください

糖尿病とは
糖尿病の症状
糖尿病の種類と原因
糖尿病の検査
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
糖尿病の治療
シックデイ時の過ごし方
よくあるご質問
糖尿病 Q&A 検査編
糖尿病 Q&A 治療編
院長から一言

文責

腎臓専門医
総合内科専門医                              木村 仁志


© きむら内科小児科クリニック. All Rights Reserved.

arrow_upward