たんぱく尿とは、たんぱく質が尿に多く含まれることで体の外に出てしまう状態を指します。健康な人の尿にもごくわずかにたんぱく質が含まれていますが、たんぱく尿のある方は、それ以上の量のたんぱく質が排泄されてしまうのです。
たんぱく尿の原因の多くは、尿をこし出すフィルターの部分に異常がある場合です。正常な腎臓は、体の中で不必要になった成分(老廃物)を含んだ血液をろ過し尿を作ります。体にとって必要なたんぱく質や赤血球などは濾過されないようになっています。しかし、尿をこし出すフィルターの部分に異常があると、普段もれるはずのないタンパク質が尿の中に排泄されてしまいます。目安として、尿中のたんぱくが15mg/dl以下であれば、尿たんぱく陰性、15~30mg/dlで疑陽性、30mg/dl以上だと尿たんぱく陽性です。
お肉などを過剰に食べた時や激しい運動後に一時的に尿たんぱくが陽性になることもありますがこれはすぐに元に戻ります。一方で、特別な状況ではないときにたんぱく尿の判定が出た場合は慢性腎臓病の可能性が高まりますので、専門医に診てもらうことが重要です。
ネフローゼ症候群とは、尿からたんぱく質がたくさん排出されてしまうために血液中のたんぱく質が減り、むくみの症状が起こる状態です。たんぱく質が減ると同時に、水分や塩分が血管の中から外に出ていくことで皮膚がむくんだ状態になります。
重度のネフローゼ症候群では、肺、お腹、心臓、陰のうにも水分がたまっていき、心筋梗塞や脳梗塞、感染症などに至るリスクがありますので、早期に発見し、治療することが重要です。
高リン血症とは,血液中の「リン」という成分の濃度が一定の基準値(4.5mg/dL)を上回った状態のことです。
高リン血症の主な原因は、慢性腎臓病などによる腎機能の低下です。健康な方では食物からリンが吸収され、それと同じ量のリンが腎臓から尿へと排泄されます。一方、慢性腎臓病などの腎機能が低下した状態の方では、体内に吸収されたリンが腎臓を経由して尿に排泄されることができなってしまい、体内にそのまま溜まります。これが長期にわたり繰り返されることで、高リン血症となります。
高リン血症による具体的な症状は特にありません。しかし、血液中の高リン状態が続くと、この余分なリンがカルシウムと結びつきます。その結果、骨がもろくなったり、骨以外の場所に石灰ができてしまいます。この石灰は、特に血管の石灰化を引き起こすため、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクとなります。こうしたことから、慢性腎臓病の方ではリンの値もチェックして高リン血症を治療することが重要です。
ヒトは、鼻や口から酸素を吸って、二酸化酸素を出す呼吸を行いますが、呼吸に関連する器官を呼吸器と言います。
一般的には、上気道と下気道に分けられます。
上気道は鼻、咽頭(のど)、喉頭(のどの下の部分)、下気道は気管、気管支、肺からなります。
会話や咳やくしゃみをすると、口から細かい水滴(しぶき)が飛び散ります。
この細かい水滴(しぶき)を飛沫と言います。
この飛沫の中に病気の原因となるような細菌やウィルスなどの病原体が含まれていた場合、ヒトの喉の粘膜や気道の粘膜、目の粘膜などから病原体が体内に侵入し、増殖することによって感染が成立します。これを飛沫感染と言います。
飛沫は水分を含んでいるため、それなりの大きさと重さがあり、口から放出された後、1-2m程度とんで、すぐに地面に落ちてしまいます。通常は1-2m以内の距離で飛沫を浴びることによって感染します。新型コロナ感染で叫ばれているソーシャルディスタンスというのはこの1-2mの距離をあげることによって、飛沫感染を防ぐということです。
ほかに、飛沫感染を防止するには、マスクが非常に重要です。
感染者から排出された細菌やウィルスなどの病原体を含む唾液や分泌物、排泄物などが、いろいろな場所に付着し、そこに触れて汚染された第三者の手を介して、何らかの拍子にその方の目や鼻、口から体内に入り、粘膜から侵入して感染が成立します。これを接触感染と言います。
病原体は、あくまで粘膜から侵入しますので、手に付着しただけでは感染しません。付着したままの汚染された手で、目や鼻を触ったり、食事をしたりすることによって感染します。 ですので、接触感染を防止するには、手洗いが非常に重要になります。