NUTRITION
栄養について

食べ物と全身

私たちの体は、私たちが口にする食べ物からできています。脳、心臓、肺、骨、腎臓、血液、皮膚、爪、髪の毛など。すべて私たちが毎日、口にする食べ物が姿を変えたものです。良い食べ物を食べれば、体が健康になり、頭もさえ、明日への活力もわいてきます。考えればとても当たり前のことですが、みなさん毎日の食生活を振り返っていかがですか?意外とおろそかになっていませんか?

細胞の入れ替わり

私たちヒトの体は、37兆個の細胞でできています。モノであれば、時間の経過とともに自然に風化して壊れていきます。しかし、私たちヒトや動物は健康に生きている限り、からだが壊れていくことはありません。なぜなら、これらの37兆個の細胞は、絶えず古い細胞と新しい細胞が入れ替わっているからです。ヒトや動物の体では基本的に、古い細胞が壊されるたびに新しい細胞が作られています。

新しい細胞を作るのには材料が必要です。この材料は私たちが口から食べる食べ物であり、この材料を栄養素と呼びます。ヒトの体の水分を除いた構成を見てみると、タンパク質70%、脂質12%、核酸7%、糖質5%、ミネラル他6%となります。

三大栄養素

ヒトの体で重要とされるのは、タンパク質、脂質、糖質の3つの栄養素です。これらは三大栄養素と呼ばれます。

大まかに言えば、タンパク質はからだを作る主要な成分です。また、タンパク質は触媒(体内での化学反応を進めるもの)の役割もありますし、燃やせばエネルギーにもなります。

脂質は、柔らかいので臓器や細胞を包んで保護したり、細胞を包む細胞膜を構成したり、飢餓状態になれば、燃やしてエネルギーにもなります。

糖質は、主にエネルギー源として全身の組織に運ばれます。ミネラルやビタミンは微量栄養素といわれる通り、量は少ないですが、体内の様々な化学反応に必要な成分です。クルマのエンジンを動かすオイルのような存在で、これがなくなればうまく回らなくなってしまいます。

ところで、上の文章で何か気づいたことはありませんでしたか?実はタンパク質、脂質、糖質の三大栄養素からは、それぞれエネルギーを作ることができます。また、それぞれの物質は変換することができます。タンパク質から脂質や糖質を作ることができますし、脂質から蛋白質や糖質を作ることも、糖質から蛋白質や脂質を作ることもできます。

ちなみにこれらの物質の変換やこれらの物質からエネルギーを作るにはビタミンB群が必須になります。ですからビタミンB群が不足すると疲れやすいからだになってしまいます。

分子栄養学(オーソモレキュラー医学)

このように、ひとつひとつの細胞の中では様々な分子レベルの反応が絶えず行われており、それら含め37兆個の細胞が健康に生きることイコール私たちが健康に生活することになるわけです。

この分子レベルで栄養を考えることを分子栄養学といいます。分子栄養学は、オーソモレキュラー医学ともいいます。オーソモレキュラーとは、ギリシャ語で「正しい」を意味する「オーソ(Ortho)」と、「分子」を意味する「モレキュラー(Molecular)」を組み合わせた単語で、ビタミンやミネラル等の栄養素を正しく取り入れることを基本とした医療です。正しい食事からの栄養と、適宜サプリメントや点滴などで高濃度の栄養で、体全体の栄養を補充します。また、身体に悪影響のある物質を避け、体内からそのような物質を排出することもあります。こうした栄養のバランスを整えることで、病気の治療や予防を行います。

オーソモレキュラー医学は、ノーベル賞を2回受賞したライナス・ポーリング博士(米国)によって1960年代から実施され始め、アメリカとカナダを中心に理論や治療法が広がりました。オーソモレキュラー医学は、今では世界中の大学や医療機関で研究・実践されています。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会