NUTRITION
もしかしたらその症状、病気ではなく栄養不足かもしれません

もしかしたらその症状、病気ではなく栄養不足かもしれません

みなさん、体の調子が悪い、頭痛やだるさ、疲れやすいなどの症状で病院を受診し、採血などの検査をしても「検査結果は問題ないですよ」と言われた経験はありませんか?もしかしたらそれは病気ではなく、『栄養不足』かもしれません。

検査結果の正常と理想の違い

血液検査や画像検査など、医師により通常行われる検査では、正常の値の範囲や問題ないという判断は、あくまで「病気ではないですよということが言えると考えられている値や定義」です。検査で異常が見つからなかったことは、体の状態が理想的であることとは異なります。もっと言えば、体の細胞が理想的なカタチで活動している状態を表しているわけではありません。

現代の食生活では栄養バランスの理想からかけ離れていることが多くあります。糖質過多、野菜不足、タンパク質不足、間違った脂質摂取、インスタント食品やスナック菓子の摂取。。。たとえ検査で異常が見つからなかったとしても、体の細胞が理想的なカタチで活動している状態ではないというのは、このような食生活を送っていれば当然のことと言えます。私たちは、基本的に食事から栄養を吸収してエネルギーや健康な体を作ります。現代の偏った食生活では、理想的な身体や考え、動き、日常生活をすることなど到底できません。

医師の思考停止

体に不調が出ると、何の病気だろうと思って病院を受診し、医師も何の病気だろうと思って患者さんを診察します。体を良い状態に保つということが医師の使命だとすると、本来は、何の病気かを心配する前に「ちゃんとした食事をして栄養をしっかりとっていますか?」と聞く必要があるのではないかと私は常々思っています。

しかし、残念ながら我々医師は、検査結果が正常で病気じゃないということがわかった時点で、そこで思考が停止してしまいます。なぜなら、栄養についての評価、つまりどんな栄養を取りすぎてどんな栄養が不足しているかという教育を、医師になる過程で受けていないからです。そして、検査の結果が正常であればそこで診療が終わってしまうのです。

分子栄養学(オーソモレキュラー医学)

37兆個と言われる人間の細胞ひとつひとつがどのような活動をしてどのような栄養素が関わっているかを分子レベルで学ぶ学問を、分子栄養学(オーソモレキュラー医学)と言います。オーソモレキュラーとは、ギリシャ語で「正しい」を意味する「オーソ(Ortho)」と、「分子」を意味する「モレキュラー(Molecular)」を組み合わせた単語で、ビタミンやミネラル等の栄養素を正しく取り入れることを基本とした医療の学問です。オーソモレキュラー医学は、ノーベル賞を2回受賞したライナス・ポーリング博士(米国)によって1960年代から実施され始め、アメリカとカナダを中心に理論や治療法が広がりました。オーソモレキュラー医学は、今では世界中の大学や医療機関で研究・実践されています。

私はこの学問と出会い勉強することで、「いかに栄養が大切であるか」、「栄養不足で様々な症状や不調が体に出るか」を学ぶことができました。また、一見正常範囲とされる採血結果でも、分子栄養学的に深読みすることで、不足している栄養素の評価ができることを学びました。

当院での栄養確認と栄養指導

当院では、まず現在の悩みや、改善したい症状をお聞きするための問診票にお答えいただき、その後60項目からなる採血検査を行っていただきます。検査結果をもとに、医師が「栄養解析レポート」を解析し、それを用いて患者さんの栄養状態。不足している栄養素について説明します。そこから食事のアドバイスと必要であればサプリメントを提案、処方いたします。

食事療法、サプリメントの内服を行っていただき、3ヶ月後、6ヶ月後に症状や栄養状態についての評価を行います。 ぜひ、あなたも一度栄養解析をうけて、今の自分に必要な栄養素を知って、健康的な体、生活を手に入れてみませんか?

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会