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私たちの想い

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「今日ここに来てよかった」
と思っていただける診療を

きむら内科小児科クリニック
院長 | 木村仁志

医師になる前に
患者として大きな体験をした

私は、高校生の頃に網膜剥離と自然気胸という病気を患い、入院し手術を受けました。そしてこの影響で医学部の受験に失敗してしまい、1年間浪人生活を送ることとなりました。
一方で、この経験は「医師になる前に患者として大きな体験をした」ことにもなりました。患者の立場からいかに医師の声掛けが心強いか、看護師の寄り添いがありがたいかを痛感しました。これらは、私が医師への道を歩む原動力となり、医療の世界で患者の苦しみを軽減できるよう努力し続けたいという想いに繋がっています。

どんな状況でも患者さんに
寄り添うことはできる

医療への強い想いをもって医学部に入学、卒業し、東京の大学病院に就職しました。 私が医師になって初めて担当した患者さんの病気は、アミロイドーシスという現代の医療では治療することが難しいものでした。 この患者さんの治療として何ができるかを毎日考えていましたが分かりませんでした。

そんな時、指導医から「研修医は何もできない。患者さんの側に寄り添うことが仕事だ」と言われました。私はハッとしました。研修医の私にはまだ力が乏しく、ましてや治療方法が見つかっていない病気をどうすることもできません。それでも患者さんに寄り添うことはできるというのです。

それから、その患者さんのもとに毎日朝から通いました。その方は亡くなりましたが、医師として何をすべきか、大切なことを教えてもらいました。あの時の言葉は今でもよく思い出します。

在宅診療と出会う

研修期間を終え、3年ごとにいくつかの病院をまわり内科医としての研鑽を積み、多くの同僚や指導医の支えと患者さんから学びを享受しました。専門医の資格を取り、一通りの診断や手技、検査をこなすことができるようになり、次のステージとして何を目指すべきかを考えていた頃、在宅診療のクリニックをやっている院長から声をかけていただきました。医師といえば勤務医か開業医しか頭になかった私には、そんな世界があるのだと新鮮な驚きがあったことを今でも覚えています。
いろいろと調べてみると、高齢化社会に突入していく今、在宅診療というのは、日本の医療を支える一翼を担っている非常に大切な分野だと思い、思い切って声をかけていただいたその在宅クリニックに転職を決意しました。

在宅クリニックで
病院とは全く違う医療を経験

いざ入職してみてみると、在宅診療では病院とは全く違う世界が広がっていました。病気の診療に専念するのが病院ですが、在宅診療は病気だけでなく患者さんの生活の場に飛び込んでいく医療でした。患者さんの悩みや問題は病気よりも生活に即したものが多く、医師の取り組みだけでは解決しないことが非常に多くありました。医師や看護師のほかに 介護士や、 ケアマネージャー、歯科医、理学療法士、作業療法士など、私が思っていた以上にたくさんの職種の方が、1人の患者さんのために関わっていることを知りました。
また、がんの末期となり、人生の最期を病院ではなく自宅で家族に囲まれて過ごすという選択をされる患者さんにもたくさん出会いました。病院での医療しか知らない私にとって、全く異なる医療として在宅診療のクリニックという選択肢があり、その地域の方を集中して支えることができる医療があることを知りました。

自宅でクリニックを営む母の存在

在宅診療で患者さんをサポートする日々を続けている中、母と将来について話を機会があり、母に「戻ってこないの?」と聞かれ、自分のそばに一緒にいてほしいという母の心情を知りました。
母はクリニックの院長です。私が医師を目指した最初のきっかけは母でした。医師の母親のもとで育った私はいつも医師を身近な存在として意識していました。母のクリニックは自宅に併設していて、診療が終了した後の夜遅い時間や休みの日にも患者さんから電話を受けて、相談に乗ったり診察したりしている母の献身的な働きぶりを見て、私も人々の健康を守りたいと思うようになりました。
研修後に内科の道を選んだのも、最終的には母のように全身を見ることのできる医師になりたいという思いがあったからでした。

自分を育ててくれた地域に
医療で貢献したい

在宅診療の日々に夢中になっていた私は、地元には戻らずに東京で医師を続けていこうと考えていました。しかし考えてみると、両親に何かあっても東京から実家の名古屋にはすぐに駆けつけることができません。自分が診ている患者さんと両親を重ね合わせた時に、近くに家族がいることの大切さを感じました。
そして、人生の最後を自宅で過ごしたいという患者さんの想いに答えることとともに、地元に戻り、自分を育ててくれた地域の方々に医療という面から貢献することもやりがいがあることであると考えるようになりました。
その考えを伝えると、母親も喜んでくれました。それからバタバタと準備を進め、自宅のクリニックに副院長という形で戻ってきました。

地域全体の
健康を向上させたい

その後、現在までの数年間は勤務医と開業医の違いに戸惑いながら、いかに良い医療を患者さんに届けられるかを考えながら一歩一歩進んでいます。徐々に来院していただける患者さんが増えたこともあり、クリニックを建て替えて診療スペースを広げました。これまでスペースの都合で実現できなかった医療がありましたが、今後はそれもできるようになります。これからの医療の可能性を考えると楽しみでワクワクしています。
また、今後の挑戦として、地域医療の発展や予防医学の推進にも力を入れていきたいと考えています。地域の患者さんだけでなく、地域全体の健康を向上させるために、他の医療機関や行政と連携し、健康教育や疾病予防の取り組みを行っていくことが重要だと感じています。

変化する医療現場で
患者さんのために尽力する

医療技術や治療法は日々進化しています。最先端の医療技術を取り入れ、患者さんに最適な治療を提供できるように、自分自身の知識やスキルを常に磨いていくことが求められます。国内外の研究成果に目を向け、自分の診療所にも取り入れる努力を惜しまないつもりです。

AIの進化は目覚ましく、レントゲンの画像診断もAIによる診断を取り入れています。また、今話題のChat GPT を使うことにより、毎日最先端の医療の論文が日本語に翻訳され、さらに要約されてメールで届くように設定することができるようになりました。世界中のどこにいても、パソコン1つあれば最先端の医療を学ぶことができます。すごい時代になったなあと実感しています。
さらに、スタッフとの協力も重要な要素です。 医療は医師一人でできるものではありません。一人の医師としてだけでなく、チームとして患者さんに最善のケアを提供できるよう、コミュニケーションや連携を大切にしていくことが大事だと考えています。
そして、最後に、医療の現場は常に変化し続けています。今回のコロナウィルスにように、新たな疾病や感染症が出現し、それに対応するために医師として柔軟であることが求められます。私は、これからも変化に適応し、時代のニーズに応えていく医師を目指して、困難に立ち向かいながら、患者さんのために尽力し続けることを誓って、この道を歩み続けます。