糖尿病初期の場合は、自覚症状がない場合がほとんどです。
症状がないからといって放置しておいていいものではありません。
早期発見して早期治療を始めることが大切です。
そのためには健康診断を年に1回は受けていただいて、その結果をご自身でちゃんと確認していただくことが大切です。
糖尿病初期の場合は、自覚症状がない場合がほとんどです。
症状がないからといって放置しておいていいものではありません。
早期発見して早期治療を始めることが大切です。
そのためには健康診断を年に1回は受けていただいて、その結果をご自身でちゃんと確認していただくことが大切です。
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型糖尿病はインスリンを作る膵臓にあるβ細胞が何らかの原因により破壊され、インスリンを体内で作ることができなくなることが原因です。
ですので、基本的に治療はインスリン治療になります。
インスリンが治療に必須なため、インスリン依存性糖尿病とも呼ばれます。
インスリンの自己注射が必要ですが、毎食後のインスリン自己注射の代わりに、インスリンポンプ療法といって自動的に常にインスリンが体内に入るような機械を体に装着する治療方法もあります。
2型糖尿病は食事や肥満、運動不足などによりインスリンの分泌が不足したり、インスリンの効きが悪くなることが原因です。
ですので、治療の基本は、食事療法や運動療法による生活習慣の改善です。
そのうえでインスリンの分泌を良くしたり、効きを良くするようなお薬を内服し、それでもダメな場合は、インスリン注射による治療をすることもあります。
ちなみに、日本人糖尿病患者さんの9割は2型糖尿病です。
一番簡単な方法は、健康診断の早朝空腹時血糖値とHbA1cを確認することです。
早朝空腹時血糖値が110mg/dl未満、HbA1cが6.5%未満であれば、正常です。
もう少し詳しく検査を希望する場合は、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTTといいます)という検査を行います。
これはあらかじめ75gのブドウ糖を溶かした糖液(サイダーのような味)を飲んで、1時間後、2時間後にも採血をすることで血糖の推移を詳しく測ります。その値の推移で「正常型」「境界型」「糖尿病型」を判定します。
また、インスリン分泌能を測ったり、インスリン抵抗性といって、インスリンの効き具合を評価することもできます。
糖尿病の初期には全く自覚症状はありません。
高血糖の状態が続くと、のどの渇き、多飲、多尿等の症状が出てきます。
高血糖になると尿糖といって、余った糖分が尿に漏れてきます。
そうすると尿が濃くなり、浸透圧といって水分を引っ張る力が強くなるので、尿量が増えます。(多尿)
そうすると体は脱水状態になるので、のどが渇き、水分を摂るという形になります。
次に、体重減少が挙げられます。
通常はインスリン作用によりブドウ糖は血液中から筋肉組織や脂肪組織に取り込まれ、エネルギー源として利用または貯蔵されます。
しかし、インスリン作用が著しく低下すると、血液中のブドウ糖を脂肪組織や筋肉組織などに送り込めなくなるため、体は脂肪組織の中性脂肪や筋肉組織のタンパク質を分解してエネルギーとして利用しようとするため、体重減少がみられるようになります。
糖尿病というと肥満のイメージがあると思いますが、体重減少は重症の糖尿病で見られる症状です。
ですので、糖尿病といわれている方で体重減少が見られる場合は、早急に専門的な検査や治療を受ける必要があります。
また、意識障害を起こすこともあります。
糖尿病の方はインスリン作用が低下しており、血液中からうまくブドウ糖を取り込むことができず、エネルギーとして使えないので、ブドウ糖の代わりに脂質をエネルギーとして使おうとします。
そうすると分解の過程で大量のケトン体が発生します。
ケトン体は酸性物質ですので、大量に発生すると体が酸性に傾いて意識障害を起こします。
これを糖尿病ケトアシドーシスといい、重篤な状態です。
すぐに入院してインスリン投与による加療が必要です。
糖尿病自体で痛みを含め自覚症状が出ることはありません。
ただし、糖尿病で怖いのは合併症です。
多彩な合併症がありますが、その中には痛みを伴うものもあります。
代表的なものでは心筋梗塞があります。
心筋梗塞とは心臓の血管が詰まることによって心臓の筋肉が血流不足で死んでしまう病気で命にかかわります。
血管が詰まると胸痛といって胸の締め付けられるような痛みが出ることがあります。
また同じように足にいく血管が詰まる病気を閉塞性動脈硬化症といいますが、足先が血流不足で、冷たくなったり、痛みが出たり、場合によっては血流不足で組織死んで(壊死といいます)、腐ってきてしまうこともあります。
これによる痛みはかなりの痛みです。
状態がよくない場合は、その部分だけ手術で切断することもあります。
答えはNOです。
血糖値は、おもにインスリンとグルカゴンというホルモンの作用によって調節されており、食事や運動、薬物、そのほかのホルモンなどの多くの因子に影響されています。
食事をすると血液中のブドウ糖が増え、血糖値が上がります。
そうすると、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むためにインスリンが分泌され、血糖が下がります。
3大栄養素といわれる炭水化物、タンパク質、脂質では、それぞれ血糖変動に与える影響が異なります。
糖質と食物繊維からなる炭水化物は血糖値がすぐに上昇する栄養素です。
同じ炭水化物でも、含まれる糖質と食物繊維のバランスの違いで、血糖値への影響度は異なります。
さて、ご質問についてですが、血糖値は甘いものだけで上がるわけではありません。
上にお話ししたように炭水化物というのは、糖質と食物繊維からできていて、この糖質が血糖を上昇させます。
したがって糖質が含まれる食物はしょっぱいものでも血糖を上昇させます。
ポテトチップス、おせんべいなども炭水化物に分類されます。
したがって高血糖の要因となりますので注意が必要です。
答えはYESでもありNOでもあります。
血糖値は、おもにインスリンとグルカゴンというホルモンの作用によって調節されており、食事や運動、薬物、そのほかのホルモンなどの多くの因子に影響されています。
食事をすると血液中のブドウ糖が増え、血糖値が上がります。
そうすると、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むためにインスリンが分泌され、血糖が下がります。
3大栄養素といわれる炭水化物、タンパク質、脂質では、それぞれ血糖変動に与える影響が異なります。
糖質と食物繊維からなる炭水化物は血糖値がすぐに上昇する栄養素です。
同じ炭水化物でも、含まれる糖質と食物繊維のバランスの違いで、血糖値への影響度は異なります。
さて、甘いものは基本的に糖質の塊ですので、高血糖のリスクは非常に高くなります。
糖尿病になる可能性も高いと思います。
ただし、上でも説明したように、血糖値は食事だけではなく、それ以外の様々な要因の影響を受けます。
しっかり量を管理して、運動をしっかりして、肥満に注意していれば、糖尿病になるとは限りません。
ですが、基本的にはリスクは高いので、甘いものはほどほどに控えていただくのがよろしいかと思います。
糖尿病有病者と糖尿病予備群は合わせて約2,000万人いるといわれています。
平成28年「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。
糖尿病が強く疑われる者の人口に対する割合は男性16.3%、女性9.3%であり、年齢が高いほど糖尿病有病者の割合が高くなる傾向にあります。
また糖尿病有病者の割合は最近20年間で増加傾向にあります。
一方世界ではどうでしょうか?
国際糖尿病連合(IDF)の発表した「IDF 糖尿病アトラス 第9版」によると、世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2019年現在で糖尿病有病者数は4億6,300万人に上り、2017年から3,800万人増えています。
糖尿病有病者数は、有効な対策を施さないと、2030年までに5億7,800万人に、2045年までに7億人に増加すると予測されています。
2019年の20〜79歳の成人の糖尿病有病率は9.3%で、11人に1人が糖尿病と推定されています。65歳以上では5人に1人が糖尿病です。
糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に分かれます。
1型糖尿病はインスリンを作る膵臓にあるβ細胞が何らかの原因により破壊され、インスリンを体内で作ることができなくなることが原因です。
2型糖尿病は食事や肥満、運動不足などによりインスリンの分泌が不足したり、インスリンの効きが悪くなることが原因です。
日本人糖尿病患者さんの9割は2型糖尿病です。
さて、1型糖尿病は治るのかという質問ですが、残念ながら治癒することはありません。
インスリンは自分の身体で作れないので、外からインスリンを常に入れてあげる必要があります。
ですが、現在治療法はかなり進歩してきており、しっかり血糖コントロールをすることにより、普通の方と同様の生活を送ることが可能です。
1型糖尿病は完治しないとお話ししましたが、2型糖尿病はどうでしょうか?
完治といえるかどうかは難しいところですが、食事療法や運動療法を行うことによって、内服していた薬を中止することは可能です。
ですが、食生活が乱れてしまうと再び血糖コントロールは悪化してしまいます。
そういう意味では完治することはなく、うまく付き合っていく病気と言えるかもしれませんね。
病院での採血や健康診断でHBA1cを測って、5.5%以上だった方は、食後に高血糖になっている可能性があります。
いつのまにか、高血糖になっていても、自覚症状はあまりありません。
従来の血糖測定は、採取したその時の血糖しか測ることができません。
空腹時であれば、空腹時血糖。食後1時間であれば食後1時間後血糖。食後2時間であれば、食後2時間後血糖。
ですので、血液を採取したタイミング以外の時にいくら高血糖になっていても気づくすべはありません。
ここ数年で出てきた全く新しい血糖測定機器、リブレは皮下グルコースを持続的にモニタリングすることが可能です。
2週間の間、上腕にセンサーを取り付けることによって、その間の血糖の推移を的確に評価することが可能です。
リブレを使って持続的に血糖モニタリングを行うことで、健康診断で正常と判断されている方の中にも食後高血糖を起こしている例があることが最近わかってきました。
当院ではこのリブレを用いた血糖測定サービスを行っております。
センサーを購入いただくのみで、ご自身のスマホと連携することによってリアルタイムに血糖測定をすることが可能です。
2週間後にデータをプリントアウトし患者さんにお渡し説明をいたします。
一度、ご自身の血糖の推移を調べてみませんか?
まず受診ごとにお勧めする検査は、血糖・HbA1c・尿検査・体重・血圧です。
これらの項目は前回受診時から今回受診時までに血糖コントロールが良かったのか悪かったのかを評価するのに重要です。
血糖・HbA1cだけであれば、当院では指先からの極少量の血液だけで当日結果評価ができます。
次に、3ヶ月に1回は、脂質代謝(コレステロール)、肝腎機能、貧血などがないかなどの評価のため、採血をお勧めします。
糖尿病の方は高血圧や脂質異常を合併している方が多く、これらの疾患は、糖尿病の合併症である動脈硬化をさらに進行させるので、評価して必要であれば同時に治療をすることが望ましいです。
大きく二つの目的があります。
一つは尿糖をチェックすることにより血糖コントロールの確認ができます。
基本的には、血液中の糖が尿に漏れることはありません。
しかし、血糖値が160~180mg/dlを超えることがあると、尿中に糖が漏れてきます。
つまり、尿糖を確認することで、血糖の推移を予測することができます。
二つめに、糖尿病の合併症である、糖尿病性腎症の評価をすることができます。
糖尿病による腎障害では、まず尿にタンパクが漏れてきます。
(初期はアルブミンという蛋白の一種が漏れます)
定期的に尿をチェックすることにより、早期発見早期治療ができます。
※血糖が高くなくても尿に糖が漏れることがあります。これは治療の必要はありません。(腎性糖尿といいます)
※糖尿病の治療薬でSGLT2阻害薬というタイプのお薬は尿に糖を出すことで血糖を低下させるお薬ですので、尿糖+になってしまいます。
答えは△で、心配ないとも言い切れません。
病院での採血や健康診断でHBA1c値 5.5%以上(6.5%以上で糖尿病型)だった方は、食後に高血糖になっている可能性が高いとされますが、実は健康診断等で「正常」と判断されている方の中にも、気づかぬうちに食後高血糖となっているケースがあることが分かってきました。
従来の検査方法では、血液採取タイミング以外の血糖値を把握することはできませんでしたが、近年腕にセンサーを付けだけで皮下のグルコース(ブドウ糖)による血糖変動を測定・記録できる「血糖自己測定器(商品名:リブレ)」が登場しています。
条件を満たせば、保険適用にて利用可能な上、2020年4月からはリブレを主とした保険項目も新たに設定されました。
当院でもこの測定器を用いた自己管理法を行っており、患者さんにはセンサーを購入いただく必要がありますが、ご自身のスマホと連携することによってリアルタイムでの血糖測定が可能です。
センサーは厚さ5mm程度の小型サイズなので、上腕後部に装着したまま服を着たり、耐水性があるので装着したままシャワーや入浴、プール(浸水30分程度)に入ったりすることもできます。
2週間後にデータをプリントアウトして患者さんに説明の上お渡しします。
ご興味ある方はお気軽にご相談ください。
それは、GLP-1受容体作動薬とよばれるものです。
こちらはすべて注射薬になります。
GLP-1は、食物摂取により腸管から分泌されるホルモンの一つです。
これはインスリンを分泌する膵β細胞というところを刺激することによって、インスリンの分泌をよくして、血糖を上昇させるグルカゴンというホルモンの分泌を抑えることにより血糖コントロールを改善します。
このお薬のいいところは、食事摂取に反応してインスリン分泌を促進するので、低血糖になりにくいことがあげられます。
また、膵臓以外にも食欲抑制による体重減少、胃排泄遅延による食後血糖上昇抑制効果、血圧低下や脂質改善作用も研究で報告されています。
さらに、このタイプの薬の中でトルリシティというお薬は、週1回打つだけでOKです。
曜日を決めたら、その日のいつ打っても大丈夫です。
ですので、お出かけの予定があるときに持っていく必要がありません。
自宅にいるタイミングで打つだけです。
万が一打ち忘れても翌日でも大丈夫です。
打ち方もそれほど難しくはありません。
ロックを外しておなかに当ててボタンを押すだけです。
当院の場合は、導入時はスタッフが指導をしながら、行っています。
慣れてきたところで、ご自身でご自宅で打っていただくようになります。
当院では70代の方でも80代の方でもご自身でやられている方がいらっしゃいます。
また、ご家族の方がやり方を覚えて患者さんに打つというケースもあります。
内服薬だけでは、なかなか血糖コントロールがよくならない、薬が多すぎて管理ができない、インスリン注射を提案されているけど、どうしてもやりたくない、という方は一度検討されてみてはいかがでしょうか?
※2023年4月にはトルリシティよりさらに効果を強くしたGIP/GLP-1受容体作動薬であるマンジャロというお薬も発売されました。こちらは血糖降下作用だけでなく、体重減少作用も報告されております。
まず、よく噛んで食べることが大切です。
よく噛んで食べると、食べる時間が長くなります。
そうすると血糖上昇することにより満腹中枢を刺激して少量でもおなかがいっぱいになります。
またよく噛むこと自体が満腹中枢を刺激して食欲を抑えることも知られています。
食べるものも工夫してみましょう。
食物線維が多い食材や弾力性のある食材、殻付き食品を選んでみましょう。
主食も白米や精製されたパンではなく、雑穀米や玄米、麦飯、全粒粉パンなどがおすすめです。
食べる順番も大切です。
食物繊維の多い野菜から先に食べることで、食後血糖が上がりにくくなります。
また、主菜としてタンパク質を使った食品を主食より先に食べることで、インスリンの効きがよくなることが知られています。
ご飯やパンなどの炭水化物は食事の最後にデザート感覚で食べることをお勧めします。
糖尿病の合併症の中に、薬などが効きすぎて血糖が逆に下がってしまう、低血糖発作というものがあります。
通常、血糖値が70mg/dl未満の場合、低血糖と診断して処置を行います。
低血糖症状には大きく分けて、交感神経症状と中枢神経症状があります。
交感神経症状というのは、低血糖によって交感神経が刺激されることにより、発汗・動悸・手の震えなどの症状が出現します。
中枢神経症状は、血糖値が50mg/dl以下になると眠気、脱力、集中力低下などが起き、血糖値が30mg/dl以下になると痙攣、昏睡になり、対応が遅れると意識が戻らないこともある重篤な合併症です。
そのため、低血糖症状が出現したら速やかに、糖分を摂取して血糖をあげる必要があります。
かかりつけ医から、ブドウ糖を処方されている場合はブドウ糖を、それがない場合は砂糖やジュースなどを摂取しましょう。
ブドウ糖や砂糖以外の糖分は血糖上昇まで時間がかかりますので、注意しましょう。
低血糖時は毎回ブドウ糖や砂糖を摂取するのは問題ありませんが、低血糖を頻回に起こすような状態は問題です。
頻回に低血糖発作を起こすようでしたら、薬剤が合っていない可能性があります。かかりつけ医と相談しましょう。
ずばり!
食事・運動・薬です。以上!
これでは答えになりませんね。
もう少し説明してみましょう。
ヒトはつねにエネルギーを使い続けて生命を維持し生きています。
そのエネルギーは、通常1日3回ほどの食事からまとめて撮っているため、食後は一時的に摂取エネルギー過多となります。
通常は食事摂取により、食後の血糖濃度が上昇し始めると、インスリンが分泌されて、血糖は下がりますが、糖尿病の方はインスリン分泌が悪いかインスリンの効きが悪くなっているため、血糖が上がってしまいます。
そこで食事により摂取するカロリーを制限することにより、血糖上昇を抑える必要があります。
カロリー制限だけでなく、食事のタイミングや順番を工夫することでも血糖上昇を抑えることができます。
次に運動をするとどんな効果があるのでしょうか?
血糖値は、血液中に入ってくるブドウ糖と、出ていくブドウ糖のバランスによって上がったり下がったりします。
血糖の中に入ってくるブドウ糖は、主に肝臓から出てくる糖と、食事から入ってくる糖の2つのルートがあります。
その反対側では、血液中から糖が出ていくルートがあります。
このルートは、主に筋肉が担当しています。
血糖値が下がるということは、血液中に入ってくるブドウ糖より出ていくブドウ糖の方が多いことを意味しています。
糖尿病患者さんにおいて運動療法は血糖を低下させますが、そのしくみとして筋肉による糖取り込みの増加が重要です。
つまり、運動をすることにより、体の中では、骨格筋での糖取り込みが増えます。
それにより、血液中から出ていく糖が増えて血糖値が低下します。
このような運動の効果は2つに分けられます。
たとえば、1回の運動でも骨格筋の糖取り込みは増加し、血糖値は低下することが知られています。
このような運動の効果は急性効果と呼ばれています。
その一方で、運動を継続し続けることにより、運動をしていないときでもインスリンによる骨格筋での糖取り込みは高まります。
このような効果は運動の慢性効果と呼ばれています。
糖尿病の薬にはどのようなものがあるのでしょうか?
現在では、いろいろなタイプのお薬が開発されています。
簡単にみていきましょう。
まずはインスリン抵抗性を改善させるお薬、つまりインスリンの効きをよくするタイプのお薬です。
このようなタイプのお薬としてビグアナイド薬、チアゾリジン薬というお薬があります。
これらのお薬は、比較的使いやすく低血糖のリスクも少なく、ビグアナイド薬などは第一選択(まず最初にチョイスされる薬)に挙げられますが、ビグアナイドでは腎機能低下している方には使えず、チアゾリジン薬は浮腫や心不全のある方は注意が必要です。
次に、インスリンの分泌を促すお薬があります。
このようなタイプのお薬としてスルホニル尿素(SU)薬、速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)というお薬があります。
これらのお薬の注意点はなんといっても低血糖です。
とくにSU薬は作用時間が長いため、高齢者の方は注意が必要です。
次に、糖の吸収を抑える、糖の排泄を促進するお薬があります。
糖の吸収を抑えるお薬としてα-グルコシダーゼ阻害薬、糖の排泄を促進するお薬としてSGLT2阻害薬があります。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、腸管での糖の吸収を抑えることによって血糖の上昇を抑えますが、下痢、便秘、放屁、腹部膨満などの腹部症状が出ることがあります。
SGLT2阻害薬は、腎臓で作られる尿に強制的に糖を排泄させるお薬です。
このお薬は比較的新しいお薬ですが、最近このお薬を使った様々な研究が行われ、心臓や腎臓にいい効果があることが次々と報告されています。
次にインスリン分泌を改善するインクレチン関連薬があります。
インクレチン関連薬には、DPP-4阻害薬という内服薬とGLP-1受容体作動薬という注射薬があります。
これらのお薬も、先ほどのSU薬同様インスリンを分泌させるお薬ですが、このお薬のいいところは、食事に反応して作用するため、無秩序にインスリンを分泌させるSU薬と違って、低血糖を起こしにくいことが挙げられます。
GLP-1作動薬には、週1回投与でOKのお薬もあり、手技も簡単で、高齢な方でも安心してお使いいただけます。
最後に、インスリン製剤です。
これは、文字通り、体の中で足りなくなったインスリンを外から注射で入れてあげるお薬になります。
患者さんの食事や生活に合わせて、インスリン量を調整して投与することができる反面、手技が大変ですし、外出先にも持参しなければいけないこともあります。
このように、一言に糖尿病の治療と言ってもいろいろな方法があります。
これらの方法を、ご自身の生活スタイルや血糖値に合わせて、かかりつけの先生と相談しながら、組み合わせて治療に当たることになります。
糖尿病は血糖コントロール以外に、糖尿病の合併症(糖尿病性腎症、網膜症、神経症、閉塞性動脈硬化症、脳血管障害、虚血性心疾患、認知症、悪性疾患、感染症、皮膚疾患など)にも注意したい病気です。
また、糖尿病を含む生活習慣病は「動脈硬化」を引き起こす原因となりますので、糖尿病以外の生活習慣病(肥満・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症・脂肪肝・睡眠時無呼吸症候群など)にも注意が必要です。
生活習慣の改善・食事療法・運動療法などは糖尿病治療だけでなく、糖尿病の合併症や生活習慣病の予防・治療にもなり一石二鳥にも三鳥にもなります。
基本的には、毎月診察をさせていただきます。
その際、体重測定、尿検査、グルコース(血糖値)、HbA1cを毎月計測して、糖尿病手帳に記入します。
グルコースとHbA1cだけの場合は、指先や耳たぶからの1滴の血液採取で当日に結果が分かります。特にHbA1cは最速30秒で計測可能な最新式の医療機器を導入しております。
また、3か月に1回は普通の採血検査を行って、グルコース・HbA1c以外に脂質代謝(コレステロール)、肝腎機能、貧血なども確認します。糖尿病の方は高血圧や脂質異常を合併している方が多く、これらの疾患は糖尿病の合併症である動脈硬化をさらに進行させるため、定期的に評価して早期発見・早期治療につなげます。
ただし、上記のやり方はあくまでも目安です。当院では、患者さんのご希望を伺い、メリットデメリットを説明した上で、最適な検査・治療プランを患者さんと相談しながら選択していきます。
答えは△で、心配ないとも言い切れません。
病院での採血や健康診断でHBA1c値 5.5%以上(6.5%以上で糖尿病型)だった方は、食後に高血糖になっている可能性が高いとされますが、実は健康診断等で「正常」と判断されている方の中にも、気づかぬうちに食後高血糖となっているケースがあることが分かってきました。
従来の検査方法では、血液採取タイミング以外の血糖値を把握することはできませんでしたが、近年腕にセンサーを付けだけで皮下のグルコース(ブドウ糖)による血糖変動を測定・記録できる「血糖自己測定器(商品名:リブレ)」が登場しています。
条件を満たせば、保険適用にて利用可能な上、2020年4月からはリブレを主とした保険項目も新たに設定されました。
当院でもこの測定器を用いた自己管理法を行っており、患者さんにはセンサーを購入いただく必要がありますが、センサーとスマホを連携するだけで、リアルタイムに血糖測定が可能となっています。
センサーは厚さ5mm程度の小型サイズなので、上腕後部に装着したまま服を着たり、耐水性があるので装着したままシャワーや入浴、プール(浸水30分程度)に入ったりすることもできます。
2週間後に本体からデータを取り込み、プリントアウトして患者さんに説明の上お渡しします。ご興味ある方はお気軽にご相談ください。
糖尿病の治療薬は、インスリン注射を中心に高めの薬が多いので、お支払いが毎月大変な方も多くいらっしゃると思います。
糖尿病の血糖管理には薬が必要ですが、少しでも安くするために、同じ薬の種類でジェネリック医薬品や安いタイプのものに替えてもらうという方法があります。ジェネリック医薬品は、特許が切れた薬について、別の会社から同じ成分の薬として販売しているものです。
インスリン注射の注入器についても、プレフィルド/キットよりカートリッジやバイアルというタイプの方が安いという場合があります。このような工夫で今より少し安くなる可能性はあります。
※薬剤の変更は適切な治療ができるという前提が大切ですので医療機関に相談してみましょう。
また、確定申告で医療費控除を受けるという手もあります。医療費控除とは、1年間にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる所得控除制度のひとつです。
医療費控除の対象になる場合は、確定申告の際に還付金を受け取ることができます。ご自分だけでなく、生計をともにする配偶者や親族の方の分も合算して計算することができますので、対象の可能性がある方は活用をおすすめします。