更年期を迎えた女性の中には、ピルの使用について悩む方も多いのではないでしょうか。
年齢や健康状態によってはピルの使用に制限があるため、正しい情報を知ることが大切です。
この記事では、更年期でもピルを飲み続けられるのか、何歳まで飲めるのか、そして代替手段について詳しく解説します。
更年期に差し掛かると、ピルを飲み続けられるかどうか気になる方も多いでしょう。
WHOのガイドラインによると、ピルの服用期間は基本的に初経から閉経までとされています。
では、具体的に何歳までピルを飲むことができるのでしょうか?
ピルの使用には年齢の上限があり、健康状態により注意が必要です。
一般的に、閉経までピルの使用が可能ですが、50歳以上ではたとえ閉経していなくても服用が制限されることがあります。
これは、50歳を超えるとピルによる血栓症のリスクが高まる可能性があるためです。
特に、静脈血栓塞栓症(足の静脈に血の塊ができ、それが肺に詰まるリスクがある病気)の発症リスクが高まることが知られています。
40歳以上で閉経前の人は、健康状態によってピルの使用が制限される場合があります。
特に心血管系の病気リスクが高まる時期であるため、持病や生活習慣によってはピルの使用が適さないことがあります。
以下のような方は、飲むことができません。
引用:CLINIC FOR
・習慣流産の既往がある
・肥満(BMI30以上)
・高血圧
・高脂血症
・糖尿病
・喫煙者も飲めない
喫煙者の場合、ピルが心血管系障害のリスクをさらに高める可能性があります。
そのため、35歳以上の喫煙者のピル服用は基本的に推奨されません。
ピルを服用する際は、禁煙を検討することで、より良い選択になるかもしれません。
更年期症状の治療に低用量ピルを使用することは一般的ではありませんが、ピルに含まれる女性ホルモン(エストロゲン)によって、症状が和らぐ可能性があります。
ただし、低用量ピルはあくまで避妊薬であり、更年期症状の正式な治療法とは異なることに注意が必要です。
通常、更年期症状の治療にはホルモン補充療法(HRT)が用いられます。
HRTはピルと比較してホルモン剤の量が少なく、体への負担が軽減される傾向にあります。
更年期の治療を目的としてピルを使用することは推奨されず、HRTがより適切な治療方法とされています。
副作用のリスクを考え、更年期障害のような症状を改善する目的で、自己判断のもとに低用量ピルを使用することは控えましょう。
引用:Pills U
ピルは主に避妊や月経痛の軽減に効果を発揮し、一方でHRTは更年期症状の改善が主な目的です。
また、ピルに含まれるホルモン量はHRTよりも多いため、適応される年齢層や用途も異なります。
項目 | ピル | ホルモン補充療法(HRT) |
---|---|---|
主成分 | ・エストロゲン (卵胞ホルモン) ・プロゲステロン (黄体ホルモン) | 主にエストロゲン ※プロゲステロンを併用する場合もあり |
ホルモン量 | ホルモン補充療法(HRT)の約5倍 | ピルより少量 |
主な用途 | ・避妊 ・月経痛の軽減 ・肌荒れ改善 | 更年期症状(ほてり、のぼせなど)の改善 |
特徴 | 排卵を抑制し、卵巣の負担を軽減 | 減少したエストロゲンを補充し、症状を緩和 |
更年期症状は、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少によって引き起こされます。
特に、プレ更年期と呼ばれる30代後半の女性にとって、ピルはホルモンバランスの変化による不調を抑える選択肢の一つとなる可能性があります。
ただし、ピルは更年期障害の正式な治療法ではなく、主な治療法はホルモン補充療法(HRT)であることを忘れないでください。
ピルの使用で一部の症状が和らぐ可能性はありますが、根本的な治療を目的とする場合は医師に相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
更年期症状には、女性ホルモンの一種であるエストロゲンを投与することで効果が期待できます。そして、エストロゲンはピルにも含まれているため、ピル服用中は、更年期症状が緩和されることがあるのです。
引用:CLINIC FOR
40代に入ると、ピルの服用を控える必要が出てくる人もいます。
しかし、ピルで得られた体調の安定を手放したくない人や、避妊を継続したい人も多いでしょう。
そのような場合、ピルの代わりとなる避妊や治療の方法を検討することをおすすめします。
子宮内避妊器具(IUD)は、避妊目的で使われる小さな器具を子宮内に挿入する方法です。
精子の運動を妨げたり、受精卵の着床を防ぐことで、高い避妊効果が期待できます。
中でも「ミレーナ」というタイプは、黄体ホルモンが付加されており、子宮内膜を薄くしてさらに着床を防ぎます。
この方法は約5年間効果が持続し、避妊効果は約99.8%と非常に高いとされています。
ピルが服用できない人にも適した選択肢となる可能性があります。
漢方薬は、生理痛やPMS、さらには更年期症状などに効果が期待できる自然由来の治療薬です。
体質や症状に合わせた漢方を使用することで、ホルモンバランスを整え、不快な症状が軽減される可能性があります。
例えば、生理痛には桃核承気湯や桂枝茯苓丸、PMSには抑肝散加陳皮半夏や呉茱萸湯がよく用いられます。
漢方薬は長期間の服用が可能なため、40代以降でも継続して使用しやすいでしょう。
低用量ピルが使えない40代以上の方におすすめなのが、ミニピルです。
この薬はエストロゲンを含まず、血栓症のリスクを低減しながら避妊効果を発揮します。
排卵を抑制することで月経を止め、PMSや生理痛の改善も期待できます。
40歳以上になると血栓症のリスクが上がるため、低用量ピルや超低用量ピルは服用できない場合があります。しかし、ミニピルなら血栓症のリスクが低いため、40歳以上の方でも服用できます。
引用:マイピルオンライン
更年期にピルを使用する際には、年齢に応じたリスクを考慮しつつ、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
ここでは、更年期にピルを使用する際のポイントについて詳しく解説していきます。
40歳以上の女性は、年齢とともに血栓症のリスクが上がるため、ピルの使用については慎重に検討することをおすすめします。
日本産科婦人科学会によると、ピル使用時に深部静脈血栓症のリスクが3~5倍に増加する可能性があると報告されています。
特に喫煙習慣がある人、肥満傾向にある人、高血圧の人などは、リスクがさらに高まる傾向があります。
医師とよく相談しながら、代替策を検討し、必要に応じて適度な運動や水分補給などの血栓予防を心がけるとよいでしょう。
40代後半から50代に近づくと、ピルからホルモン補充療法(HRT)への移行を検討するケースが増えてきます。
HRTには経口剤、貼り薬、塗り薬などがあり、個々人のライフスタイルや健康状態に合わせて選びやすくなっています。
更年期でもピルを使用することは可能ですが、年齢や健康状態によってはリスクが高まる可能性があるため、慎重に判断することが求められます。
ピルを飲み続けるかどうかを決める際は、医師とよく相談しながら自分に合った選択肢を見つけることが重要です。
また、代替手段としてホルモン補充療法や自然療法も視野に入れ、総合的な健康管理を行いましょう。