花粉症はいまや国民病と言われるくらいポピュラーな疾患です。花粉症の実態はスギやヒノキなどの花粉に対するアレルギー症状により、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、眼のかゆみ、目の周りや結膜の発赤、流涙、襟足や顔面の赤み、かゆみ、腫れなどの皮膚症状、頭痛、微熱、倦怠感などの全身症状などがおこるものです。特に鼻や眼の症状は多かれ少なかれ必発と言われています。症状の推移は花粉飛散と連動しますが、個人個人の症状の程度、種類はさまざまであり、一様ではありません。
花粉症は、1日の中でくしゃみや鼻水1日がどのくらい出るかによって重症度が変わります。1~5回は軽症、6~10回が中等症、11~20回が重症、21回以上が最重症という指標があります。ただし、このほかに鼻づまりの度合い、や医師の検査や鼻の中の状態で総合的に重症度が決定されます。
花粉症の症状は、花粉の抗原(アレルゲン)が体内に入ることで引き起こされるアレルギー反応です。そのため、まず重要なのは花粉を体内にできる限り入れないということです。花粉飛散が多い時期はできる限り窓を閉めて室内に外の空気を入れない、布団や洗濯物はなるべく外に干さない、こまめに掃除するといった、日常生活で注意すべき点があります。外出時のマスクの着用も大切です。花粉を自分の生活から除去し回避することが重要なのです。
花粉症の薬物治療については、鼻アレルギー診療ガイドラインというものが作られています。そのガイドラインでは、重症度によって、第二世代といわれる抗ヒスタミン薬、遊離抑制薬、鼻に噴霧用や点眼用のステロイド薬、ロイコトリエン拮抗薬などの薬剤を組み合わせて治療を行います。
抗ヒスタミン薬を選ぶ上でポイントとなるのは、眠気の副作用があるか、1日何回服用するか、ほかの薬との飲み合わせはどうか、といったことです。第二世代の抗ヒスタミン薬は眠気の副作用が少ないものが多いですが、自動車の運転をされる方は薬剤によっては服用できないものもありますので注意が必要です。1日何回服用するか、ほかの薬との飲み合わせは問題ないかというのも医師や薬剤師に確認が必要になります。最近では1日1回の薬や、貼るタイプの抗ヒスタミン薬もあります。
また、花粉症は初期治療が大切です。予想花粉飛散開始日より2週間前より経口薬の内服を開始すると、季節初期の症状がよく抑えられることが、試験で証明されています。一般的に花粉が飛散しだすのは2月半ばから3月と言われていますので、2月上旬~半ばには内服を開始することが望ましいと考えられます。
当院でも内服薬や点鼻薬、点眼薬の処方は可能ですので、気になった方はお気軽にご相談ください。
舌下免疫療法とは、アレルギーの原因である花粉を少量から投与することで、カラダを花粉に慣らし、症状を和らげたり、薬の量を減らしたり、根本的な体質改善が期待できる治療法です。
原因となる花粉を用いて行う治療法のため、原因となる花粉を確定する確定診断が重要です。診断の結果、花粉症の種類がスギ花粉である、またはダニアレルギーであることがわかれば舌下免疫療法を行うことができます。ただし、スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、スギ花粉のシーズン中には開始できず、一般的には6月~11月のどこかで開始することとなります。
正しく治療が行われると、はじめてのスギ花粉飛散シーズンから症状を和らげることが期待されます。
年単位で継続することで根本的な体質改善が期待できると考えられています。
当院では、月1回の通院、3割負担で合計約2700円(診察費が約700円、お薬が約2000円です。年間で約33,000円かかります。
(一度だけ、薬開始1週間後に薬の容量を増やすため、再受診が必要です。)