慢性腎臓病(CKD)は、自覚症状が少なく、気づかないうちに進行することがあります。放置すると腎機能が低下し、最終的には人工透析が必要になる可能性があります。また、腎臓の機能低下は心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気のリスクを高めます。しかし、適切な生活習慣と治療を続けることで、進行を遅らせることが可能です。ここでは、腎臓病を悪化させないためのポイントを紹介します。
塩分やたんぱく質の摂りすぎは、高血圧や尿たんぱくの増加を引き起こし、腎機能を悪化させる要因となります。そのため、食事での管理が非常に重要です。
☑塩分の目安:1日6g未満
☑たんぱく質の目安(標準体重1kgあたり):
・ステージG3a:0.8~1.0g
・ステージG3b以降:0.6~0.8g
ただし、極端な制限は低栄養につながるため、医師や管理栄養士と相談しながら調整することが大切です。
腎機能が低下すると、血液中のカリウムやリンが過剰になり、「高カリウム血症」「高リン血症」を引き起こす可能性があります。これらは腎臓に負担をかけ、さらに病気を悪化させる要因となります。
☑カリウム摂取の目安
・ステージG3b:2,000mg/日以下
・ステージG4~G5:1,500mg/日以下
☑リンの管理
リンはたんぱく質と密接に関係しているため、たんぱく質の摂取量と合わせて調整が必要です。
肥満やメタボリックシンドロームは、腎臓病の進行リスクを高めるため、適度な運動と適切な食事管理が重要です。
☑目標カロリー摂取量(標準体重1kgあたり):25~35kcal/日
☑運動習慣のポイント
・継続できる運動を取り入れる
・ウォーキングや軽い筋トレなど、無理のない運動を習慣にする
・年齢や体調に応じた運動メニューは、医師や専門家に相談
慢性腎臓病が進行すると、腎臓の機能が低下し、貧血(腎性貧血)を引き起こすことがあります。貧血を治療することで、心筋梗塞や心不全のリスクを抑えることが可能です。
☑貧血治療の主な薬
・赤血球造血刺激因子製剤(ESA)
・HIF-PH阻害薬(2019年登場の新薬)
また、高血圧は腎臓病を悪化させる大きな要因です。ACE阻害薬・ARBなど、適切な降圧薬を使用し、血圧をコントロールすることが重要です。
高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病は、慢性腎臓病の進行を加速させます。健康診断で「要治療」と指摘された方は、早めに医師に相談し、食事・運動・薬物療法を適切に組み合わせることが大切です。
慢性腎臓病は、進行してしまうと元の機能を取り戻すことができません。「自覚症状がないから大丈夫」と思わず、定期的に腎機能をチェックし、早めに対策を始めることが大切です。
当クリニックでは、腎臓専門の診療を行い、患者様一人ひとりの状態に合わせた食事・運動・薬物療法のアドバイスを提供しています。健康診断で腎機能の異常を指摘された方、腎臓病の進行を防ぎたい方は、お気軽にご相談ください。