腎臓の働きは、一度失われると元に戻すことが難しいため、今ある機能を少しでも長く保つ(長持ちさせる)工夫が大切です。 そのために最も重要なのが、日々の食事です。慢性腎臓病(CKD)の食事療法で意識すべき5つのポイントを解説します。
「食事療法=制限すること」と思われがちですが、腎臓を守るためには、実は「エネルギーをとること」が非常に重要です。 エネルギーが不足すると、体は自分の筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとします。この時に発生する老廃物が、かえって腎臓に負担をかけてしまうからです。 ご飯(炭水化物)や良質な油などを上手に使い、「カロリーは減らさず、中身を見直す」ことが基本です。
肉や魚、卵などに含まれる「たんぱく質」は体を作る大切な栄養素ですが、とりすぎると老廃物が増え、腎臓の負担になります。そのため、病気の進行具合に合わせて量を調整する必要があります。
特に高齢の方の場合、たんぱく質を制限しすぎると筋肉が落ちてしまい、体力が低下する「フレイル(虚弱)」の原因になることがあります。「とにかく減らせば良い」わけではありませんので、ご自身の体格や年齢に合った適量を知ることが大切です。
塩分のとりすぎは高血圧を招き、腎臓への大きな負担となります。 慢性腎臓病における塩分摂取量の目標は、一般的に「1日6g未満」とされています。 極端に塩分をゼロにする必要はありませんが、漬物、汁物、干物などの回数を減らす、香辛料や酸味を利用するなど、無理なく続けられる減塩を心がけましょう。
腎臓の機能が低下してくると、余分なカリウムを尿として排泄できなくなり、血液中のカリウム濃度が高くなってしまうことがあります(高カリウム血症)。 カリウムは生野菜、果物、生魚(刺身)などに多く含まれます。 ただし、病状が初期の段階では制限が必要ないことも多いため、ご自身の検査データ(血液検査)を見ながら調整していくことが重要です。
腎機能が低下すると、リンが排泄できずに体内に蓄積し、骨が脆くなったり血管が硬くなったりする原因になります。 特に注意したいのは、ハム、ソーセージ、インスタント食品、スナック菓子などの「加工食品」に含まれるリンです。これらは体への吸収率が高いため、まずは加工食品を控えることから意識してみましょう。
腎臓病の進行を抑えるためには、適切な食事療法が欠かせません。当院では、医師と管理栄養士が連携し、患者さま一人ひとりの状態に合わせた食事指導を行っています。食事に関するお悩みや不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。