SKINDISEASE
お子様の皮膚疾患について

お子様の皮膚疾患について

お子様の皮膚は大人の皮膚に比べて薄いため、外部からの刺激を受けやすい状態にあります。また、汗をかきやすいため細菌やウイルスが繁殖しやすく、感染症を引き起こすこともあります。
お子様に多くみられる皮膚疾患には以下のものがあります。

じんましん

じんましんは、皮膚に赤みがかかり盛り上がりが生じる皮膚の病気で、激しいかゆみを伴うことが多くあります。6週間以内でおさまるものを急性蕁麻疹、6週間以上続くものを慢性蕁麻疹と呼びます。
じんましんは、さまざまな原因や状況により起こります。

  • 感染、食物、疲労、ストレスなど直接的な関係のないことが原因で起こるじんましん
  • 食べ物や薬品、植物、昆虫などに接触することにより引き起こされるじんましん(アレルギー性)
  • 小麦やエビなどの食べ物を食べた後に体を動かすことで起こるアナフィラキシー反応(食物依存性連続誘発アナフィラキシー)
  • 肌がこすれる・急に冷たいものや熱いものに触れる・太陽に光にあたるなどによるじんましん(物理性)
  • 入浴や運動、緊張感などから汗をかいた時に生じるじんましん(コリン性)

など
一部分でかゆみが弱ければそのまま様子をみてもいいですが、かゆみが強かったり全身に広がる場合には、抗ヒスタミン薬の内服を行います。それでも治らない場合は短期間に限定してステロイドを使うこともあります。

乳児湿疹

新生児期から乳児期にみられる湿疹です。
乳児に見られる湿疹のひとつです。
頭部に黄色のかさぶたやフケのようなものが付着します。
頭や顔から皮脂とよばれる脂肪分が多く分泌されることで症状が出ます。
新生児中毒性紅斑や脂漏性湿疹などが主ですが、アトピー性皮膚炎との区別が難しい場合もあります。
治療はまずは石けんでやさしく洗います。ひどい場合にはステロイド薬や保湿剤を塗りましょう。黄色っぽいかさぶたのような状態の時は、無理にはがさずにオリーブオイルなどでなじませたうえで洗い、洗い残しにないようしっかりとすすぎます。入浴後に、清潔なタオルでやさしく水分をふき取り、ワセリンなどの低刺激性で保護作用のある保湿剤で保湿します。
湿疹は一度はよくなってもぶり返すことも多いですが、生後3~4ヶ月ころまでに自然によくなってきます。

水いぼ 伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)

一般的には「ミズイボ」と呼ばれる伝染性の強いウィルスによる感染症です。
原因は、「伝染性軟属腫ウイルス」というウイルスが皮膚に付いてそれに接触することです。
症状は、直径1~5mmくらいの白い塊を含んだいぼが胸などにできます。光沢があり、水ぶくれのようにも見えることもあります。写真のように表面はなめらかで盛り上がっています。胸や脇の下、肘、膝などに発生しやすいですが、顔、首、陰部などどこにでも生じる可能性があります。数個~数十個発生し、かゆみを伴う場合もあります。
発症後6ヶ月から3年程度で自然に脱落するため他人と接触する機会が少なければ、何もせずに様子をみます。プール教室に通っているなど他人に接触する機会が多ければ、摘除したり、お薬を塗ります。

アトピー性皮膚炎

アレルギーで起こる湿疹です。
乳児(満1歳未満)では2か月以上、それ以上の年齢では 6 カ月以上持続するかゆみのある慢性的な湿疹です。
ダニやホコリや食物、唾液、汗、髪の毛との接触、衣類との摩擦など症状が悪化する原因は様々ありますが、食物による影響は乳児期がほとんどで、幼児期以降は食物による影響はほとんどありません。
乳児期は顔や首、腕の外側、足の表側などにできやすいですが、年齢が経るにつれて肘の内側や膝の内側などにできやすくなります。
治療はステロイド薬を塗ります。またかくとそれが刺激となり悪化するため湿疹がひどい場合にはかゆみ止めの内服も行います。最近では炎症やかゆみを抑えるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬という塗り薬も登場しました。

とびひ 伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)

皮膚にいる黄色ブドウ球菌や連鎖球菌という細菌による感染です。火事の飛び火のように炎症が急速に広まっていくことから「とびひ」という名前がつけられています。

とびひは、虫刺されや湿疹をひっかいてできた傷から二次感染を起こした結果の炎症です。また、鼻の穴の入り口には様々な細菌が存在していて、鼻を触るくせがある幼少期の方では、鼻の周囲からとびひが始まったり、鼻を触った手であせもや虫刺されなどをひっかくことでとびひになってしまいます。
とびひは、水疱(みずぶくれ)ができて、びらん(ペロッと皮膚がむける)ができることの多いタイプ(水疱性膿痂疹)と、炎症が強くかさぶたがついてみずぶくれができないタイプ(痂皮性膿痂疹)の2種類があります。
とびひの治療には、抗生剤の飲み薬や塗り薬があります。また、症状が重症な場合は点滴注射をする必要があります。清潔に保つことが第一です。炎症が起きている場所にせっけんは使ってかまいません。ただしゴシゴシとこすらず泡立てた石けんでそっと洗います。また、湯ぶねではなくシャワーが良いです。
とびひと思われる方は、人にうつる可能性があるので、プールなどは控えて早めに受診してください。感染性が高いので、早めに受診しましょう。

おむつかぶれ

おむつかぶれとは、おむつのあたる部分にあかみや発疹などの炎症が起こることです。命の危険などはありませんがよく起こり、お子さんにとってはかゆみや痛みでつらいものです。
おむつかぶれの症状としては、おしりやおむつが直接あたる部分に赤い湿疹ができたり、悪化すると皮むけや痛みも起こります。
原因は、おむつ内の湿めった環境です。湿りがある皮膚は傷つきやすく、おむつをつけて生活することで摩擦が加わり刺激物質が侵入します。そして、尿と便が混ざり細菌に感染することで,おむつ皮膚炎が生じます。特に、軟便や排せつの回数の多い低月齢のころによく起こります。
消化器の病気や、下痢、排便回数が多い、おむつ交換回数が少ないことなどが関係していると言われますので、これらを是正することが大切です。おむつをこまめに取り替えて清潔を保ちましょう。また、下痢の時はシャワーで洗い流し、より清潔にします。さらに、保湿剤や皮膚の保護剤を塗ることもおむつかぶれの予防につながります。

カンジダ性皮膚炎

便の中にいるカンジダという常在菌(カビの一種)に感染することで炎症が起きます。
カンジダ皮膚炎の症状としては、ひじやひざの内側、おしりや股の部分に赤い湿疹ができます。湿疹はしわやひだの奥までできます。おむつかぶれと間違いやすい病気ですが、悪化するとただれたり、皮がむけるといった症状が出ます。
原因としては、オムツのむれや塗り薬の使い過ぎなどで皮膚のバリア機能が破壊され、便のカンジダ菌が侵入して皮膚炎を起します。便以外にも、ヨダレや介護者の手を介してカンジダに感染することもあります。
カンジダに効く適切な塗り薬を使用すれば、通常は1週間程度でよくなります。一方で、おむつかぶれ用の市販薬で治そうとするとかえって症状が悪化する場合もあります。早めに受診するようにしてください。

あせも・あせものより

「あせも」は、汗の出口が汚れやアカでふさがれることで、透明のプツプツや赤みの小さな発疹が現れる状態です。
あせもは汗腺が密集して汗をかきやすい場所にできやすく、乳児では、ひじやひざ関節の内側部分や首筋などできやすくなります。また、後頭部や背中など、寝具で物理的にも蒸れやすい場所もあせもができやすいです。おむつで覆われた部分も蒸れて汗をかきやすいため、あせもがよくできます。

あせもの症状が悪化し、かき傷が細菌(黄色ブドウ球菌)に感染すると「あせものより(多発性汗腺膿瘍)」という病気になることがあります。あせものよりは、小豆大の赤く硬いしこりで、徐々にはれ上がって膿を含むようになります。言葉を話せない乳幼児にあせものよりが生じた際には、不機嫌や夜泣き、ほ乳力の低下などがみられます。「あせものより」は、痛みを伴う可能性の炎症で、発熱することもあります。
あせものよりは、黄色ブドウ球菌に有効な塗り薬で改善します。しかし、膿が多くたまって自然に排出される可能性が低いと考えられる場合には、皮膚を切開して膿を排出させる必要があります。

あせものよりの段階


通常、汗は、汗が出る穴(汗孔)から体外に出ますが、汗や汚れでふさがるとあせもができるます。このあせもにはかゆみがあり、ひっかくことで傷ができます。その傷から黄色ブドウ球菌に感染し「あせものより」となります。あせものよりでは皮膚の表面にしこりができて化膿した状態になります。

手足口病

手足口病は、その名前のとおり、手や足、口などに発疹ができる、急性のウイルス感染症です。コクサッキーウィルスなどのエンテロウィルスというタイプのウィルスに感染することで症状が出ます。
主に、手のひら、ひじ、足の裏、ひざ、口の中などに水疱ができます。また、手足口病では約1/3程度の確率で発熱しますが38℃以下のことがほとんどです。水疱も通常は3~7日で消えます。
口の中の水泡に痛みがあるので、食事はなるべく刺激の少ないやわらかいものにしてください。また、治った後でも比較的長期間、便などからウイルスが排出されることがあるため、手洗いを徹底しましょう。

リンゴ病

自動的に生成された説明リンゴ病(伝染性紅斑)は、頬がリンゴのように赤くなり、腕やお腹に発疹ができます。ヒトパルボウィルスというウィルスに感染することで症状が出ます。
両側の頬がリンゴのように赤くなり、続いて手や足に網目状やレ−ス状などに見える発疹がみられます。胸やお腹、背中にもこうした発疹が出ることがあります。かゆみはそれほど強くありません。
これらの症状は、たいていの場合1週間前後で消えますが、なかには長引いたり一度消えた発疹が短期間のうちに再び出ることもあります。なお、頬に発疹が出現する7〜10日くらい前に、微熱や風邪のような症状が見られることが多いと言われています。
入浴は問題ありませんが、発疹のかゆみが増すことがあるので注意が必要です。

当院の治療方針

皮膚疾患は、皮膚を清潔に保つ、温度調節をしっかり行うなど日ごろの生活で改善される点が多くあります。薬を処方するだけでなく、症状に合わせた生活する上での注意事項なども丁寧にご説明いたします。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会