2017年4月乳児ボツリヌス症で6か月のお子さんが亡くなったというニュースをやっていたのをご存知でしょうか?生後4か月のころから、市販のジュースにハチミツを混ぜて摂取させており、2か月くらいたったころにけいれんと呼吸不全などの神経症状が出現し、「乳児ボツリヌス症」と診断され、亡くなられたそうです。
1歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがあります
乳児ボツリヌス症は、国内では、保健所が食中毒として報告した事例は1986年以降3例、医師が乳児ボツリヌス症として報告した事例は1999年以降16例あります。また、欧米でも発生しており、米国では毎年100例以上の発生報告があります。
乳児ボツリヌス症の発生原因は、食品としてハチミツが指摘されていますが、ハチミツを食べていない例(国内では井戸水)も報告されています。
ボツリヌス菌は、土壌中などに広く存在している細菌です。ボツリヌス菌が食品などを介して口から体内に入ると、大人の腸内ではボツリヌス菌がほかの腸内細菌との競争に負けてしまうため、通常何も起こりません。
一方、赤ちゃんの場合、まだ腸内環境が整っておらず、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出すため、便秘、哺乳力の低下、元気の消失、泣き声の変化、首のすわりが悪くなるといった症状を引き起こすことがあります。ほとんどの場合、適切な治療により治癒しますが、まれに亡くなることもあります。
ちなみに1歳以上のお子さんには、ハチミツはリスクの高い食品ではありません。
ボツリヌス菌は熱に強いので、通常の過熱や調理では死にません
一般的に、ハチミツは包装前に加熱処理を行わないため、ボツリヌス菌が混入していることがあります。また、ボツリヌス菌の耐熱性は120度4分とされており、通常の過熱や調理では死にません。
1歳未満の赤ちゃんにハチミツやハチミツ入りの飲料・お菓子などの食品を与えないようにしましょう。