medical
腎臓のしくみと働き

腎臓のしくみと働き

腎臓の役割は「尿を作る」ことだけではありません。人間が生きる上でなくてはならない大事な働きを担っている働き者の臓器なのです。

腎臓のしくみ

腎臓は背中側の腰の少し上あたりに、左右1個ずつある臓器です。
健康な方の腎臓は、そら豆のような形で握りこぶしくらいの大きさをしています。
また、腎臓内には「糸球体(しきゅうたい:毛細血管の塊)」と尿細管から構成される「ネフロン」という血液ろ過の仕組みが腎臓1個につき約100万個備わっています。

腎臓の主な働き

腎臓といえば、「老廃物を尿として排出する」働きが有名ですが、ほかにも次のような働きを行っています。

1 体液調節

尿の量を調整して、体内の水分量を一定に保ちます。

2 電解質調節

電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン・塩素など)の濃度や量を調整して一定に保ちます。

3 酸塩基の調節

血液を弱アルカリ性に保つため、代謝に伴って作られる酸を「尿」として排泄したり、重炭酸イオン(アルカリ性物質)を放出したりします。

4 ビタミンDの活性化

カルシウムやリンのバランスを整え、正常な骨を維持するのに必要なホルモン「ビタミンD」を活性化します。活性化ビタミンDが減少すると、カルシウム吸収が低下するので骨がもろくなります。

5 エリスロポエチンの分泌

赤血球を作る働きを促すホルモン「エリスロポエチン」を分泌します。腎臓からのエリスロポエチン分泌が低下すると、血液を作る能力が低下するので、貧血になります。

6 レニンの分泌

血圧を一定に調節するホルモン「レニン」を分泌します。血液中のたんぱく質に反応して、血管収縮作用のある「アンジオテンシンⅡ」となって、血圧を上げます。

まとめ

腎臓は様々な働きをしている臓器なので、腎機能が悪くなると体のあちこちに影響が及びます。尿として老廃物を出せないことで体内に毒素が溜まるほか、貧血や骨をもろくしたり、心血管疾患の発病リスクを高めたりするなど、命に関わる危険な状態を招く恐れがあります。
また、腎臓は一度悪くなると、回復が見込めないケースがほとんどという点も忘れてはいけません。著しく機能が低下した場合には、生きるために人工透析などの腎代替療法が必要となります。そのためにも、腎臓病の「早期発見・早期治療」が重要です。
慢性腎臓病は、食事療法・運動療法など「生活習慣の改善」と、進行や合併症予防・原因となる腎臓の病気の治療などに対する「薬物治療」を併用して治療を行います。
健康診断など検尿で引っ掛かった方、ご自身の尿が気になり始めた方、ご家族に腎臓病の方がいて心配な方など、お気軽に当院までご相談ください。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会