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腎臓病の進行を防ぐためのポイント|専門医が解説

腎臓病の進行を防ぎ、健康を守るために

慢性腎臓病(CKD)は、初期には自覚症状が少なく、気づかないうちに進行してしまうことがあります。 しかし、適切な生活習慣と治療を続けることで、進行を遅らせることは十分に可能です。

当院では、「あれもこれも禁止」といった治療ではなく、患者さまの生活スタイルに合わせた「調整(コントロール)」をご提案しています。 腎臓を守るために大切な5つのポイントについて解説します。

1. 食事で「塩分・たんぱく質」を適切に管理する

塩分やたんぱく質のとりすぎは、高血圧や尿たんぱくの増加を招き、腎機能を悪化させる大きな要因となります。まずはここを管理することが治療の第一歩です。

■塩分の目標:1日6g未満 「麺類のスープを残す」「酸味や香辛料を活用して薄味をカバーする」といった工夫をすれば、無理なく減塩を続けられます。

■たんぱく質の目安(標準体重1kgあたり) ステージ(病期)に合わせて調整します。

  • ステージG3a: 0.8~1.0g
  • ステージG3b以降: 0.6~0.8g

※ご注意:極端な制限は筋肉が落ちる「低栄養(フレイル)」につながる恐れがあります。自己判断せず、医師や管理栄養士と相談しながら調整しましょう。

2. カリウム・リンの摂取をコントロールする

腎機能が低下すると、血液中のカリウムやリンを尿へ排出できなくなり、「高カリウム血症」や「高リン血症」を引き起こす可能性があります。これらはさらに腎臓へ負担をかけるため、検査結果に応じた管理が必要です。

■カリウム摂取の目安

  • ステージG3b: 2,000mg/日以下
  • ステージG4~G5: 1,500mg/日以下

■リンの管理 リンはたんぱく質に多く含まれるため、たんぱく質制限とセットで調整します。特に、吸収されやすい「加工食品の添加物(無機リン)」を控えることが効果的です。

3. 適度な運動とエネルギー管理

肥満やメタボリックシンドロームは、腎臓病の進行リスクを高めます。「適切な食事量」と「適度な運動」の両輪で対策しましょう。

■適切なエネルギー摂取 目標:25~35kcal/日(標準体重1kgあたり) 食事量を減らしすぎるとエネルギー不足になり、筋肉が分解されてかえって腎臓に負担をかけることがあります。ご飯(炭水化物)や良質な油などで、しっかりとカロリーを補うことがポイントです。

■運動習慣のポイント

  • 継続できる運動を取り入れる ウォーキングや軽い筋トレなど、無理のない運動を習慣にしましょう。
  • 年齢や体調に合わせる どの程度の運動が良いかは人によって異なります。医師にご相談ください。

4. 薬物療法で「貧血・高血圧」を治療する

慢性腎臓病が進行すると、腎臓のホルモンを出す力が弱まり、貧血(腎性貧血)になることがあります。貧血を放置せず治療することで、心筋梗塞や心不全のリスクを抑えることが可能です。

【腎臓専門医による守りの治療】 食事療法だけではカバーできない部分は、専門医が適切な薬を用いて腎臓を守ります。

●貧血治療の主な薬

  • 赤血球造血刺激因子製剤(ESA): 不足しているホルモンを注射で補います。
  • HIF-PH阻害薬: 飲み薬で、体内のホルモン産生を促す新しいお薬です。

●高血圧の治療 高血圧は腎臓病を悪化させる最大の敵です。ACE阻害薬・ARBなどの「腎臓を保護する作用のある降圧薬」を使用し、血圧を厳密にコントロールします。

5. 生活習慣病をトータルで管理する

高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症なども、慢性腎臓病の進行を加速させます。 健康診断で「要治療」と指摘された方は、放置せずに早めに医師へ相談してください。食事・運動・お薬を適切に組み合わせ、総合的に数値を良くしていくことが大切です。


腎臓の健康を守るために、早めの対策を

慢性腎臓病は、一度進行してしまうと元の機能を取り戻すことが難しい病気です。「今は症状がないから」と油断せず、定期的に腎機能をチェックし、早めに対策を始めることが将来の健康を守ります。

当院の腎臓内科診療の特徴
当院では、腎臓専門医である院長が、医学的根拠に基づいた薬物療法や生活指導を行います。 また、管理栄養士とも密に連携し、患者さま一人ひとりのライフスタイルに合わせた「続けられる食事・運動のアドバイス」を提供しています。 健康診断で腎機能の異常を指摘された方、将来のために腎臓を守りたい方は、お気軽にご相談ください。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会
  • 日本美容内科学会