「けいれん」とは、何らかの原因により脳神経が異常に興奮し、本人の意思と関係なく一定の時間、体がぴくぴくしたり突っ張ったりすることです。こうしたけいれんの動きは、筋肉のれん縮(筋肉が異常なまま収縮し続ける状態)が過剰になっている状態です。
一般的にも「けいれん」という言葉は普及しており、さまざまな場面で使用されています。中枢神経から発生するものや、末梢神経から発生するもの、あるいは筋肉そのものに由来するものなどけいれんの原因や起こり方は様々あります。
けいれんでは、呼びかけても反応がない、白目をむく、唇の色が青ざめる、口から泡をつくなどがみられることが多いです。
短時間のけいれんでは後遺症を残すことはありませんが、けいれんが長引く場合やけいれんの原因によってはすぐに治療が必要な場合があります。
体が急に熱を上げようとするときに筋肉を細かく収縮させて熱を作ることです。けいれんのように全身が震えますが、意識はあり視線があったり受け答えができる点がけいれんとは異なります。悪寒があるときは服や布団などで温かくしてあげてください。
高熱があるときにぼーっとしたりうわごとを言ったりすることです。意識がないように見えますが、名前を呼んだり肩をたたくなどの刺激で反応がある点でけいれんと区別できます。
※意識がある場合もてんかん発作としてのけいれんの可能性はあります。
乳幼児が激しく泣いた後に息が詰まったように体が突っ張ってしまうことです。けいれんのように見えるというだけで本当のけいれんではありません。強く泣いただけですので心配いりません。
まずは落ち着いて観察を。
けいれんのほとんどは数分で止まります。唯一の目撃者はその場に居合わせたご両親のことが多いので、下記のようなポイントをよく観察してできればメモに残してください。
・持続時間 5分以上続く場合は救急車
・手足の動き 左右対称ですか?
・目の向き どこを見ていますか?
・顔色 青くなっていませんか?
・体温 熱はありますか?
×やってはいけないこと
・口の中に物や指を入れない
・ゆすったり叩いたりしない
・けいれん中や直後は飲み物や飲み薬は与えない(誤嚥の可能性があります)
5分以上続く場合はすぐに救急車を呼びましょう
上記以外のけいれんの場合は、落ち着いたら病院に電話相談
けいれんの原因は様々ありますが、子どものけいれんとしては発熱に引き続いて起こる「熱性けいれん」や「てんかん」が多いです。
生後6か月から5歳までに、発熱時(通常は38度以上)に起きるけいれん発作で、日本では5%以上の子どもが熱性けいれんを起こします。上に書いてあるまぎらわしい症状と違い、熱性けいれんでは意識がなくなります。熱の上がり際に多く、白目を向いて、身体が硬くなってのけぞる姿勢になったり、手足をガクガク震わせ、顔色が悪くなります。ただし、体の力が抜けて、ボーッとして意識がなくなるだけの場合もあります。
てんかんは様々な症状があり、けいれんとしても、意識をなくして手足をつっぱらせた後、ガクガクさせる全身の発作や、片方の手足や顔がけいれんする部分的な発作などがあります。多くの場合、神経細胞が過剰に興奮する理由は不明で、体質によるものと考えられています(特発性)。一方、脳の腫瘍や頭部の外傷などの脳の病気にともなっててんかんが起こることもあります。これを二次性(症候性)てんかんと呼びます。
てんかんの場合、けいれん発作が繰り返し起こる可能性が高いため、適切な治療が必要となります。救急車を呼ぶほどの症状がなく落ち着いたら一度病院に相談してみましょう。