BRUISE
頭をぶつけた

子どもは頭をぶつけやすい

子どもは成人に比べて頭が大きく重心が上の方にあるため転倒しやすいと言われています。また、身長が低いために視線も低く相対的に視野が狭くなることや、興味の対象に関心が集中し、視界全体を見てとっさの状況判断や危険を察する能力が乏しいこと、腕力が弱いことなどから、転倒するなどして頭をぶつけやすいのです。

子どもの頭の外傷の特徴

子どもが頭部に外傷を負う原因は、ころぶ、落ちる、交通事故にあう、スポーツでケガをするなど様々ありますが、0~5歳が救急搬送されるケースで多いのは「ころぶ」ことと「落ちる」ことです。
子どもの頭蓋骨は成長途中のため、成人に比べ弾力性があり衝撃を吸収しやすく、頭部に外傷を受けた際も成人より骨が割れにくいという特徴があります。一方で、頭蓋骨が柔らかいことは脳への影響がより大きくなる可能性があります。
また、子供の頭部の軟部組織では、血管の発達が進んでいます。このため、外傷時の出血や血管の損傷が成人に比べてより多くなる場合があります。子供の頭部外傷では、出血したり、たんこぶができたり、陥没骨折が起こることがあります。

事故を防ぐためのポイント

  • 成長に合わせた生活環境を整えることが、頭部打撲の予防に繋がります。
  • ハイハイやつかまり立ち、一人歩きをはじめたら・・・ 階段のところにはガードをするなどしましょう。
  • 自転車に乗るときは・・・ 必ずチャイルドシート、ジュニアシートを装着し後部座席に乗せましょう。
  • 自転車や三輪車、キックボードに乗るときには・・・ 必ずヘルメットを着用するように習慣つけましょう。

おうちケアのポイント 24時間観察を

  • 冷やす、傷の手当てをする
    打ったところに大きな傷がなければ、受傷直後から冷やすようにしましょう。傷口が見える傷口がある場合の手当てとしては、まず水道水を流しながら石けんで洗います。その後、傷口を出血が止まるまで10分ほど清潔なタオルまたは滅菌ガーゼなどで押さえます。腫れがある場合は、氷をタオルで包んで、20分位腫れが治まるまで押さえてあげてください。
  • 安静にさせて観察する
    頭を打った受傷直後には、症状が出にくい場合もあるため、安静と十分な保護者の観察が必要です
    最低2時間程度、子供を横にさせて症状が治まるまで休ませましょう。眠れるようであればそのまま眠らせてかまいません。時々様子をみてください。24・24時間は、保護者が子どもの様子に変化がないか注意して観察しますを。意識が遠のいているのか眠っているのかわからなければ、起こして意識の確認をしますを。意識があって起きていても、長時間の外出を避け、自宅でゆっくり過ごしましょう。
    透明な色の飲み物 (水やりんごジュースなど。ミルク、オレンジジュースなど透明で無い物は避ける) のみを与え、2時間経っても吐かなければ食べ物を開始しても大丈夫です。頭に外傷を負った後は吐く子供が多いので、吐き気が治まるまで食べ物は控えください。

受診ポイント

こんな場合は、救急車を呼んでください。

  • ぶつけた直後にぐったりして泣かない
  • 反応がなく意識がない
  • けいれんを起こしている

こんな場合も救急車を要請してOK

  • 呼びかけてもぼんやりしている
  • 名前を呼んでも反応が鈍くボーッとしている
  • 意識はあるが手足の左右の動きが違う
  • 手足が完全に麻痺している
  • 瞳の黒い部分(瞳孔)の大きさが左右で違う
  • 呼吸がうまくできていない
  • 普段のように言葉を話すことができない

すぐに受診

  • 名前や場所がわからず、つじつまの合わないことを言う
  • 物が見えづらい(視力障害)、物が二重に見える(複視)
  • 手足に力が入らない、しびれがある
  • まっすぐ歩けないなど、不安定な歩行
  • 頭痛がだんだんひどくなる
  • 繰り返し吐く
  • 不機嫌で、ぐずり方が激しい
  • よく眠る、眠気が強い(特に普段寝る時間帯でない場合)
  • 眠りから覚めない

診療時間内に受診

  • 普段通りに泣き、手足を左右差なく動かす
  • 嘔吐が1~2回のみ
  • 泣き止んだら普段通りに過ごしている

この記事も読む

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会