GASTROENTELITIS
嘔吐・下痢

まず疑うのは・・・

発熱、嘔吐、下痢症状がそろえば、感染性胃腸炎の可能性が高いです。嘔吐症状や下痢症状、時に発熱がみられます。ウイルス感染がほとんどで、自分の体の免疫力で自然に治るので治療は症状に対する治療(対症療法)が中心です。

感染性胃腸炎の原因となるウイルスは?

ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスが小児期で主要なウイルスとなります。
季節
ロタウイルスの感染は2~5 月にかけて流行し、ノロウイルスの感染は12月~翌年2月に流行します。アデノウイルスの感染は1年間を通じてみられます。
年齢
ロタウイルスとアデノウイルスは、6か月~2歳の乳幼児によく感染します。一方、ノロウイルスは4カ月~10代まで子どもでも幅広い年齢で感染すると言われています。
症状
ロタウイルス感染症の主な症状は嘔吐(おうと)と下痢です。1 歳以下は重症化しやすく、けいれん発作を起こすこともあります。下痢が続く期間は平均5~6 日とされていて、発熱もみられることが多くあります。アデノウイルス感染症は、まず下痢があり、その後に嘔吐が現れることが多いとされています。症状持続は 9 ~ 12 日と比較的長いです。ロタウイルス感染症とアデノウイルス感染症は、白色から黄白色の水っぽい便が出るのが特徴です。ノロウイルス感染症は、吐き気、おう吐、下痢、発熱、腹痛が症状として現れますが、小児では嘔吐が多いです。有症期間は平均24~48時間です。

感染予防のポイント

手洗い・消毒​

下痢の場合
便を扱った手から口の中にウイルスが入り感染します。トイレや汚物に触れた後は頻回に手を洗いましょう。ご家族が感染しないために、お子さんのおむつ交換の後なども手を洗いましょう。

嘔吐の場合

吐物が床に落ち、乾いてから空気中に飛び、それを吸い込んで感染することがあります。吐物の処理は次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンやハイター)などできちんと拭き取ってきれいにしておきましょう。アルコール消毒は、ウイルスの種類によって効果の違いがあります。新型コロナウイルス感染症により定着しましたが、コロナウイルスはアルコール消毒が効果的なウイルスといえます。一方、アデノウイルスやロタウイルス、ノロウイルスは、もともとアルコール抵抗性が強いとされています。
ただし全く効果がないわけではありません。そのため、ノロウイルスに対するアルコール消毒としては、多めの消毒用エタノールを用いて30秒間以上接触させる必要があります。清拭では2度拭き(清拭して,15秒後ぐらいに再度清拭)すると効果的です。
また,こうしたウイルスに対しては、より効力を高めたアルコール製剤の使用も勧められます。手指用としては,pHを酸性側にした速乾性手指消毒薬(ラビショットⓇなど)、環境用としては,消毒用エタノールに第4級アンモニウム塩化合物を添加した製剤(ザルクリーンⓇ)を用いることでより効果的となります。

受診ポイント

必ず受診

・嘔吐症状が強く、半日以上水が飲めない
・ぐったりしている
・水様下痢が1日6回以上ある
・口や舌が乾き、涙が出ない
・尿の量が少ない
血便が出た

おうちケアのポイント

経口補水療法

  1. 嘔吐後すぐに水分を与えると、再度嘔吐してしまうことがよくあります。
  2. 嘔吐後は1~2時間お腹を休めて、最初はスプーン1杯分から水分摂取を。
    それでも吐かなければ、少しずつ量を増やして。

水分として与えるもの

  • 市販で売られているOS-1
  • アクアライトORSでの摂取が理想
  • 嫌がる場合はりんごジュースお味噌汁など
  • 母乳の場合は量を制限せず与えてOK
  • ミルクはお腹を休めながら普段より少なめに
  • 水分摂取ができている場合は、嘔吐症状が改善し下痢が治まってくれば、食事摂取(おかゆ、温かいうどんなど)を開始しましょう。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会