5種混合ワクチンは、ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・Hib感染症の5つの病気を1回の注射で予防できるワクチンです。
従来の4種混合ワクチンに、Hib(ヒブ)ワクチンを追加した形で、より効率的に予防ができるようになりました。Hibは不活化ワクチンで、重症化を防ぐ上で重要な役割を果たします。
適切な時期に追加分まで接種することで、ほぼ確実に免疫を獲得できます。ただし、ジフテリア・百日せき・破傷風の免疫は時間とともに弱まるため、年長期の追加接種(DT、DPT、破傷風トキソイドなど)が望まれます。ポリオも同様に、就学前の追加接種が厚生労働省により検討されています。
接種対象年齢内であれば、接種を忘れていた場合でも、思い出した時点での接種が推奨されます
① 初回免疫(3回)
3週間以上の間隔をあけて、生後2か月以上〜12か月未満の間に3回接種します
② 追加免疫(1回)
初回の3回目から6か月以上あけて、標準的には18か月後までに1回追加接種
11〜12歳で、2種混合ワクチン(DT)を1回接種(任意接種)
※ 3種混合(DPT)での追加接種も推奨されています
5種混合ワクチンで予防できる病気は、いずれも命に関わる可能性のある重篤な感染症です。ワクチン接種を受けずに発症した場合、次のようなリスクがあります。
咽頭や喉頭に炎症が起き、発熱・咳・声がかすれる・飲み込みにくい・呼吸困難などがみられます。
心筋障害による突然死や麻痺といった重い合併症もあります。
激しい咳や、咳のあとにヒューと音を立てる吸気が特徴的です。
ワクチン未接種の乳児では無呼吸発作や脳症に進展することもあり、命に関わるリスクがあります。
大人が軽症のまま感染源になることもあります。
土や動物の排泄物など、自然界に広く存在する菌が原因で発症します。
筋肉がけいれんし、口が開けにくくなる「開口障害」から全身へ波及。
肺炎や呼吸不全を引き起こし、死に至ることもある重篤な疾患です。
ポリオウイルスによって神経が傷つけられ、四肢の麻痺を起こします。
いったん起きた麻痺は多くの場合で回復しづらく、後遺症が残ることもあります。
Hibは細菌性髄膜炎の原因菌の1位であり、未接種では肺炎・喉頭蓋炎・敗血症・蜂窩織炎などの重篤な感染症を引き起こします。
ワクチンの導入以前は、5歳未満の小児で髄膜炎患者の6割がHibによるものとされていました。
5種混合ワクチンは、重い感染症からお子さまを守る大切なワクチンです。
当院では、正確な知識と安全な体制で予防接種を行っております。
ご不明な点がある場合やスケジュールのご相談は、お気軽にスタッフまでお声かけください。