予防接種について

MR(麻疹・風疹混合)ワクチン〈生ワクチン〉

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接種時期

・第1期と第2期の接種があり、対象年齢は異なります。すなわち、2回接種することにより確実に免疫をつけるようにします。
・病気になる前に予防することが目的ですから、1歳になったらなるべく早く第1期の接種を済ませることが大切です。



①第1期

 生後12か月以上24か月未満の者(1歳で接種)

②第2期

 5歳以上7歳未満の者で、小学校入学前の4月1日から3月31日まで(幼稚園と保育園の年長組に相当する者)

もし接種せずに発症したら・・・

麻疹

・麻疹は大変重篤な疾患です。高熱が1週間程度持続し、肺炎や中耳炎を効率に合併します。また、数百人に1人程度の割合で脳炎を発症し、生命や後遺症にかかわります。
・基礎疾患や治療薬により免疫低下状態にあるものでは、重症化の頻度が高くなります。肺炎が瞬く間に増悪して、死亡することもあります。白血病や臓器移植後の患者、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬を使用中の者はこれに該当します。
・ビタミンAが欠乏したものでは視力障害をきたし、慢性下痢や栄養障害に陥るものもあり、特に途上国では多くの子供たちがその被害にあっています。
・亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)は、麻疹が一旦治ってから数年以上経過して発症する疾患で、知的障害や運動障害が進行し自立生活不能に陥ります。頻度は麻疹患者数万人に1人程度ですが、根治療法のない予後不良な遠隔期合併症です。麻疹ワクチンの普及によりSSPEの頻度が減少することが報告されています。

風疹

・発熱や発疹の症状は麻疹に似ていますが、その程度や持続は麻疹に比べれば、軽度です。ただし、血小板減少性紫斑病や脳炎などの合併症が、それぞれ数千人に1人程度の割合で起こります。
・風疹の一番の問題点は、妊娠初期の妊婦が風疹ウィルスに感染すると、経胎盤的に胎児に母子感染して先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)が高い確率で発生することです。その子どもたちは、難聴、先天性心疾患、白内障などのハンディを生まれながらに背負うことになります。
・妊娠してから免疫がないことが分かっても風疹ワクチンを接種することはできません。CRSの発生をなくすためには、前もってワクチンで免疫をつけておくこと、さらには社会全体の者が免疫を保有して風疹ウィルスが流行する素地を作らないことが大切です。
・2012~2013年には何年ぶりかの風疹流行がありました。患者の多くは20~40代の男性で、彼ら世代はこれまでに風疹含有ワクチンの定期接種が適用されず、ワクチンの恩恵を受ける機会が乏しかった集団です。



ひとくちメモ

・明らかな罹患歴がある場合以外は、MRワクチンを2回接種することが確実な予防法です。
・過去に麻疹または風疹にかかった方は、麻疹単独ワクチン、風疹単独ワクチン、もしくはMRワクチンのいずれも使用可能です。ただし、罹患歴の記憶や記録が曖昧なことはしばしばで、はっきりしない場合はMRワクチンの使用を勧めます。
・また、罹患歴がある方にワクチンを接種しても副反応が増強することはありません。
・麻疹ワクチン接種後は95%以上の方が抗体を獲得します。ワクチンによる免疫は長期間持続しますが、時に接種を済ませていても麻疹に罹患する方がいます。これは、ワクチンの効果がなかった場合(100-95α=数%)と、ワクチンによっていったんは獲得された免疫が十分に持続しなかった場合が考えられます。
・MRワクチンは生ワクチンであり、体内で弱毒生ウィルスが増殖する理論上のリスクから妊娠中の方には接種しません。また、接種後2か月間は妊娠を避けるように説明します。


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