JAPANESEENCEPHALITIS-VACCINE
日本脳炎ワクチンについて 〈不活化ワクチン〉

日本脳炎とは

日本脳炎とは、日本脳炎ウイルスに感染することで、高熱や頭痛、嘔吐などの症状が起こり、意識障害やまひといった神経系の障害も引き起こす可能性のある感染症です。後遺症を残すことや死に至ることもあります。

日本脳炎ウイルスは蚊から感染しますのでほとんどが夏から秋に発生します。世界的には年間3〜4万人の日本脳炎患者が報告されていますが、日本では1960年代でも約2000人、1992年以降は発生数が毎年全国で10人以下です。ただし、毎夏、日本脳炎ウイルスを持った蚊は発生していて、感染の機会はゼロにはなっていません。かつては感染者のほとんどが高齢者でしたが、1999年以後、10代~40代でも感染者が発生しています。

日本脳炎ウイルスの感染潜伏期間は6〜16日間とされていて、まず、高熱、頭痛、吐き気、嘔吐、めまいなどの症状が現れ、その後意識障害や神経がまひする症状が現れます。

このように日本脳炎は、かかることは非常にまれですが、かかった時は重症化のリスクがとても高い感染症です。そのため、日本脳炎を予防するためのワクチンが推奨されています。ワクチンを接種することで、日本脳炎にかかるリスクを75~90%減らすことができます。

接種時期

  • 第1期3回、第2期1回、すなわち小児期に計4回の定期接種が定められています。
  • 接種を忘れた場合、接種対象月齢範囲内であれば、気づいた時点での接種が勧められます。
  • 2005年からワクチンの積極的な推奨が控えられていた時期がありました。この影響が考慮され、1995年4月2日~2007年4月1日生まれに該当する方は、20歳になるまでの期間で日本脳炎ワクチンを接種することができます。また、2007年4月2日~2009年10月1日生まれに該当する方は、ワクチン接種が完了していない残りの回数について、定期接種の年齢の範囲内でワクチン接種を受けることができます。

第1期

 生後6ヶ月以上90ヶ月未満が対象で、2回の初回免疫と1回の追加免疫からなります。

①第1期初回免疫

 初回免疫は6〜28日まで(1〜4週間)の感覚で2回接種

 3歳が標準的な接種期間

 3歳以上は1回0.5ml、6ヶ月以上3歳未満は1回0.25mlを接種

②第1期追加免疫

 初回免疫終了後6ヶ月以上を経過した時点で1回接種

 3歳以上は1回0.5ml、6ヶ月以上3歳未満は1回0.25mlを接種

第2期

 9歳以上13歳未満が対象で、0.5mlを1回接種します。

 9歳が標準的な接種期間

もし接種せずに発症したら・・・

  • 日本脳炎は発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどが主症状で、致命率が15〜40%、回復しても後遺症を残すことが多く、とくに年少時と高齢者では予後が悪い疾患です。
  • 一方、不顕性感染(感染しても症状が出ないこと)も多く、脳炎を発症するのは感染者100〜1000人に1人で、無菌性髄膜炎や普通の風邪症状ですむこともあります。

ひとくちメモ

  • ブタがウィルスを保有し、わが国では蚊(コガタアカイエカ)によってヒトにうつります。
  • 夏から秋にかけて流行し、近年最も患者発生が多いのは9月、ついで8月です。
  • 西南日本で患者が目立ち、ブタの日本脳炎ウィルス保有率が高い地域と合致しています。
  • 北海道では任意接種扱いでしたが、平成28年から定期接種となりました。
  • 日本脳炎ワクチンは、世界で初めてわが国で実用化されました。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会