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予防接種について

予防接種について

ワクチンを受ければ病気にならないの?

予防接種を受けることで、多くの人が病気に対する免疫(抗体)を獲得できます。ただし、すべての人が100%免疫を得られるわけではありません。
自然感染よりも免疫のつき方が穏やかなため、十分な効果を得るには複数回の接種が必要なこともあります。

副反応が心配でも、接種は大切です

予防接種には、接種部位の腫れや発熱などの副反応が見られることがありますが、ほとんどは一時的で自然におさまります。
ごくまれに重い副反応が起きることもありますが、それ以上に、予防接種を受けずに病気にかかってしまうリスクの方が高く、重症化する危険性も大きいです。
さらに、予防接種を受けない人が増えると、地域での病気の流行を引き起こすおそれもあります。

こんなときは主治医に相談を

以下のような方は、事前に医師とご相談ください。

  • 強いアレルギー体質のある方
  • 先天性免疫不全症など免疫が弱い方
  • 小児がんなどの治療で免疫抑制薬を使用中の方

同時接種って大丈夫?

2種類以上のワクチンを1回の通院で同時に接種することを「同時接種」といいます。
ワクチンの効果が下がったり、副反応が強く出たりすることはなく、日本小児科学会も推奨しています。

同時接種のメリット

  • 必要な免疫を早くつけられる
  • 接種スケジュールが立てやすく、打ち忘れ防止に
  • 通院回数が減り、風邪などをもらうリスクも減る

接種の組み合わせや時期について不安なことがあれば、小児科までお気軽にご相談ください。

任意接種もとても大切です

任意接種は自己負担となる場合が多いですが、予防の観点から非常に重要なワクチンも含まれます。
将来的に定期接種化されることが見込まれるものもありますので、早めの接種をおすすめします。

特に接種をおすすめしたい任意ワクチン

  • おたふくかぜ(ムンプス)
  • インフルエンザ
  • 3種混合(DPT:ジフテリア・百日せき・破傷風)

予防接種 Q & A

予防接種後に腫れがひどい場合、再度受診した方がよいでしょうか?

予防接種のあと、接種部位が赤く腫れたり、かゆみや痛みを感じることがあります。
これはよくある副反応で、多くの場合は1~2日で自然におさまりますので、心配はいりません。

ただし、次のような症状が見られる場合は、無理をせず医療機関を受診してください。

  • 腫れが強く、広い範囲に広がっている
  • 痛みやかゆみが強く、我慢できない

また、BCGワクチン接種に関しては以下のとおりです。

  • 接種後1か月ほど経ってから、かさぶたができるのは正常な反応です。
  • 一方で、接種後数日以内に接種部位が大きく腫れる・膿むなどの症状がある場合は、異常反応の可能性がありますので、早めの受診をおすすめします。

ご不安なときは、いつでもお気軽にご相談ください。

予防接種後に発熱しました。どうすればよいでしょうか?

予防接種のあとに発熱することがありますが、すべてがワクチンの副反応とは限りません。
実際には、流行中の風邪や感染症にたまたま接種のタイミングでかかってしまい、発熱しているケースも少なくありません。

いずれの場合でも、熱があっても元気があり、水分がしっかりとれているようであれば、慌てる必要はありません。
気になるときは、日中に小児科を受診し、医師に相談してください。

また、ワクチンの種類によって発熱の時期が異なる点にもご注意ください。

  • 不活化ワクチン:接種後24時間以内の発熱が多い
  • 生ワクチン:発熱は遅れて出る傾向があります
    • 麻疹(はしか)ワクチン:接種7~12日後に発熱することが多い
    • おたふくかぜワクチン:接種2~3週間後に発熱することが多い
    • これらのワクチンでは、接種後24時間以内の発熱はまれです

不安な症状があるときは、遠慮なくご相談ください。

おたふくの予防接種は保育所のうちにしておいた方がよいでしょうか?

おたふくかぜは3〜6歳で最もかかりやすい病気の一つです。特に保育所などで早期から集団生活を始めるお子さまは、感染リスクが高まります。

また、おたふくかぜには1000人に1人の割合で難聴を引き起こすリスクがあり、一度発症すると回復が難しいため、予防が非常に重要です。

ワクチンは1歳を過ぎれば接種可能です。
2回接種が推奨されており、以下のスケジュールがおすすめです。

  • 1回目:1歳になったら早めに接種
  • 2回目:就学前(5歳ごろ)

集団生活を始める前に、できるだけ早めの接種をご検討ください。

おたふくかぜワクチン未接種でまだかかったことのない成人は接種した方がよいでしょうか?接種年齢に上限は?

成人のおたふくかぜは、精巣炎(20~40%)や卵巣炎(5%)の合併頻度が高いといわれています。また女性の場合、妊娠中におたふくかぜにかかると流産のリスクがあります。1回でもワクチンを接種しておけば、おたふくかぜになっても合併症は軽くすみます。2~5年あけて2回目を接種すればさらに予防効果は高くなります。接種年齢の上限はありません。なお女性で思春期以降に接種する場合は妊娠していないこと、接種後2か月は避妊が必要です。

水ぼうそうにかかったことのない成人は水痘ワクチンを接種した方がよいでしょうか?

水痘は成人でかかると重症化するため、まだかかったことのない成人は接種がすすめられます。妊婦がかかると妊娠20週までで先天性水痘症候群(胎児奇形など)を起こすことがあります。また、妊婦の水痘は重症化します。さらに出産直前に水ぼうそうにかかると、生まれてくる子どもが重症の水痘になります。一方で妊婦になってからではワクチンが接種できないので、妊娠前に接種してください。

※ すべての生ワクチン(水ぼうそう、おたふくかぜ、麻しん風疹など)は全妊娠期間を通じて接種できません。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会