いかがでしたでしょうか。上記に一つでも当てはまる場合や、日常生活で気になっていることなどある場合、体内脂質のバランスが崩れ「脂質異常症」を発症する可能性があるため、注意が必要です。
過剰なエネルギー摂取は、コレステロール増加の原因となります。また、アルコール摂取も中性脂肪を増やします。中性脂肪は、LDLコレステロールやHDLコレステロールに比べると動脈硬化への影響は強くはありませんが、メタボリックシンドロームの診断基準のひとつとされており、結果として動脈硬化へ大きな影響となり得るため、食べ過ぎ飲み過ぎはNGです。
運動不足は、HDLコレステロールを減らす要因となります。運動が不足することで、食事によって摂取したエネルギーを消費できず余らせてしまい、メタボリックシンドロームや高血圧、動脈硬化、心血管疾患などに発展する原因となります。
余ったエネルギーは脂肪として、体内に蓄えられます。また、肥満になることで、インスリン抵抗性(詳細は糖尿病のページをご参照ください)になると、肝臓が中性脂肪をたくさん作ることになります。その結果、血中のHDLコレステロールが低下します。
ハム・ベーコン・ソーセージ・バター・チーズなど動物性脂肪分(飽和脂肪酸)のとりすぎは脂質異常症の大きな原因として挙げられます。また、すじこ・たらこなど魚卵を含む卵類、レバーなどの内臓類は、それ自体にコレステロール量が多く含まれ、LDLコレステロールを高くする原因となり得ます。カステラ・ショートケーキなどのお菓子(糖類)も、中性脂肪が増える原因です。また、こうした食品は食べるのに、野菜や海藻、きのこ、こんにゃく、豆類、納豆などの食物繊維をあまり食べないという食生活も、脂質異常症の原因となります。
睡眠不足・精神的ストレスが溜まると、交感神経が刺激されて血中脂質の上昇作用があるホルモンが分泌されます。また、ストレスを感じると、食生活の乱れ・お酒を飲みすぎてしまう方も多くみられます。
喫煙には中性脂肪を増やして、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減らす作用があります。
生活習慣病は互いに影響し合うことから、他の病気を合併しやすい傾向があります。
家族性高コレステロール血症は、遺伝的にコレステロールが高くなる病気です。約500人に1人の割合でみられます。若い頃から動脈硬化が進行するため、男性で30代・女性で50代から心筋梗塞の発症率が増加します。関節やアキレス腱などに黄色腫(主にLDLコレステロールが沈着してポコッとした皮膚の盛り上がり)ができます。
脂質異常症は、自覚症状が現れないことがほとんどです。しかし、症状がないうちに脂質異常が進行して少しずつ動脈硬化が進みます。脂質異常症は狭心症・心筋梗塞などの心疾患や、脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患を発症する最大の危険因子となります。自覚症状がないがゆえに、医療機関を受診するきっかけがあまりないと思います。一年に一回の健康診断の血液検査で正常だったとしても、上にあるような生活習慣がある場合は、それを改めたり、積極的に医療機関で脂質異常症がないかチェックすることも大切です。