DIABETES_MEAL
糖尿病時の食事

2型糖尿病の食事

1型糖尿病は原因不明で突然かかりますが、2型糖尿病は生活習慣病です。そのため、2型糖尿病では生活習慣を直すことが非常に重要です。食事はその大きなウエイトを占めます。

総エネルギー量(カロリー)

2型糖尿病の食事療法は、総エネルギー量(カロリー)を適正にすることで、インスリンがうまく分泌しない状態を直し、血糖を改善させたり高血糖やほかの様々な病気を改善し、合併症を予防することが目的です。

総エネルギー摂取量の目安は、目標体重×エネルギー係数(kcal/kg)です。

(目標体重は身長により変わりますが、65歳未満の方はBMIが22になる体重、65歳以上の方は、BMIが22~25になる体重です)

ただし、年齢や患者さんの状態、身体活動量などによって、実際にどのくらいがベストなのかということは個々で異なりますので、医師や管理栄養士に相談してみましょう。

食事の摂り方

食後の血糖値を上げない工夫として、野菜や肉をまず食べ、そのあとに炭水化物を食べるという食事の順序は最近ではよく知られています。このほかにも時間をかけてよく嚙んで食べることも血糖のコントロールに有効です。バランスの良い食事を、食べ過ぎることなく適量食べるというのが糖尿病の食事療法の基本ですが、食材やメニューに迷うことも多いと思いますので、医師や管理栄養士に相談すると効果的です。

脂質

動物性の脂質(飽和脂肪酸)の摂取は糖尿病の発症リスクということがわかっています。最近は、体に良い油として魚などの脂質(多価不飽和脂肪酸)が知られるようになりました。2型糖尿病の方で多価不飽和脂肪酸が心血管疾患になるリスクを下げるという明確な根拠はまだありませんが、糖尿病は動脈硬化の大きな原因ですので、お肉の頻度を減らしお魚の頻度を増やすと言うふうに適宜、飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に替えるというのが良いと思います。

食物繊維

食物繊維は、2型糖尿病になるリスクを下げます。また、HbA1c値を下げたり、糖尿病の方で心血管疾患になるリスクを下げることが明らかになっています。炭水化物の摂取量とは無関係に1日20g以上の食物繊維の摂取が望ましいと考えられています。目安としては1食ごとに片手山盛りくらいの野菜を摂取できると良いでしょう。

食塩

食塩は高血圧につながりますので、過剰摂取はNGです。

日本人の食事摂取基準2020年版では、食事摂取目標量を男性で1日7.5g、女性で1日6.5gという基準が設けられています。すでに高血圧になっている方は、1日6.0g未満を目標にします。

炭水化物

炭水化物の摂取量と糖尿病の関係についてはまだ研究が進んでいません。果物の糖分は、GI(食後血糖値の上昇を示す指標)値が比較的低く、糖尿病のリスクと逆の相関関係がある(果物をとることで糖尿病のリスクが減る)という研究もあります。一定量の果物は良いとされていますが、過剰にとるのはよくありません。ジュースや甘味料は血糖コントロールの悪化を招き、メタボリックシンドロームにもつながりますので控えます。

タンパク質

一般的にタンパク質のとり過ぎは腎臓への悪影響を及ぼすとされますが、現在までの研究では、糖尿病による腎機能の悪化(糖尿病性腎症)になるリスクをあげるとは考えられません。ただし、タンパク質が全体の中の20%を超えるような過剰な摂取について、安全面の確認もありませんので、極端な摂り過ぎは控えます。

ビタミン、ミネラル

ビタミンやミネラルは、2型糖尿病の方にどのような影響を及ぼすかはっきりしていません。ほかの病気などへの影響を考えると、日本人の摂取基準の量を摂ることが良いと思います。

アルコール

アルコールは上限1日25g(ビール500ml、日本酒1合)を目安に、個々の飲酒の習慣によって考えます。適量であればアルコールは糖尿病の発症率が抑えられ、血糖をコントロールしやすくなるという研究もあります。ただし、大量の飲酒はその効果はなく、ほかの病気の観点からも絶対にNGです。アルコールは依存症になる方が多くいますのでその点でも注意が必要です。

甘味料

ショ糖(いわゆる普通の砂糖)は、コレステロールや中性脂肪を増やす、糖尿や高血圧、心血管疾患が起こる可能性を上げるなどの悪影響が知られています。人工甘味料は糖尿病についてはリスクがまだはっきりしていませんが、メタボリックシンドロームのリスクを上げると言われています。糖尿病の方では甘味料はいずれにしても少量にとどめるべきと思われます。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会