75gOGTT検査は、糖尿病を疑うと行きに行う検査です。対象となるのは、HbA1cが5.6〜6.4%の方で、糖尿病の疑いがある方や、血糖コントロールの状態を詳しく知りたい方です。糖尿病は自覚症状が少なく、進行するまで気づきにくいため、早期発見と適切な管理が重要です。
本検査では、75gのブドウ糖が溶けた液体を飲み、その後の血糖値や血中インスリン濃度の変動を測定し、「正常型」「境界型」「糖尿病型」に分類します。また、インスリン抵抗性(インスリンの働きの低下)やインスリン分泌能(インスリンの産生能力)を評価する目的もあります。これにより、糖尿病の進行リスクや治療の必要性を判断しやすくなります。
検査方法
- 検査前準備
- 検査の10時間前から絶食とし、水以外の飲食を控えていただきます。
- 検査前日は、アルコールの摂取を控え、過度な運動を避けることが推奨されます。
- 検査当日
- まず、空腹時の血糖値と血中インスリン濃度を測定し、尿検査を行います。
- 次に、トレーランG(無水ブドウ糖75gを水に溶かした検査薬)を飲みます。この溶液は甘みがあり、サイダーに似た味です。
- 飲み終わってから30分後、60分後、120分後に採血を行い、血糖値とインスリン濃度を測定します。
- 検査中は、体動による血糖の変化を防ぐため、できるだけベッド上で安静を保ちます。
検査結果の評価
測定した血糖値とインスリン濃度をもとに、以下のように診断します。
- 正常型:空腹時血糖値が100mg/dL未満、かつ75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)の2時間後の血糖値が140mg/dL未満である場合。
- 境界型(糖尿病予備群):空腹時血糖値が100〜125mg/dL、または2時間後の血糖値が140〜199mg/dLの場合。この状態は糖尿病へ進行するリスクが高いため、食事や運動療法を含む生活習慣の改善が推奨されます。
- 糖尿病型:空腹時血糖値が126mg/dL以上、または2時間後の血糖値が200mg/dL以上の場合。追加の検査や治療の検討が必要となります。
さらに、インスリン分泌能やインスリン抵抗性の評価を行い、膵臓のインスリン産生能力やインスリンの効きやすさを確認します。これにより、糖尿病の病態をより詳細に把握し、個々に適した治療計画を立てることが可能となります。
この検査は、糖尿病のリスクを評価し、適切な生活習慣の改善や早期治療の指針となる重要な検査です。
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血糖経口糖負荷試験の適応(岐阜県医師会)
記事執筆者
きむら内科小児科クリニック
院長 木村仁志
資格
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本腎臓学会腎臓専門医
- 日本透析医学会透析専門医
- なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
- 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
- こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
- かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
- かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
- 日本内科学会
- 日本腎臓学会
- 日本透析医学会
- 日本プライマリケア連合学会
- 日本抗加齢医学会