糖尿病の種類と原因
糖尿病には、原因不明の突然発症する「1型糖尿病」と遺伝・環境要因が原因の「2型糖
尿病」、妊娠中によって一時的な糖代謝異常が起こる「妊娠糖尿病」があります。
糖尿病の種類と原因
● 1型糖尿病
子ども・青年・痩せ型の方を中心に幅広い年代で、突然発症します。膵臓のβ細胞の
破壊によって、急にインスリンを作れなくなる「インスリン欠乏」が原因です。
β細胞の破壊要因は明確にはなっていませんが、自己免疫との関連性が指摘されてい
ます。自力でインスリンを作ることができないため、体外からインスリンを補う必要
があります。このことから「インスリン依存性糖尿病」とも呼ばれます。
● 2型糖尿病
日本の糖尿病患者さんの約90%を占めます。中高年に多く、遺伝や食事・肥満・運動
不足といった環境要因による「インスリンの効きが悪いこと(インスリン抵抗性
)」「インスリンの分泌低下」が原因となる「生活習慣病」の一つです。病状が進行
するまで無症状の場合がほとんどです。
・インスリン抵抗性(作用障害)
インスリンの効きが悪くなるため、ブドウ糖が細胞に運ばれず、血液中に余ること
で高血糖状態になります。内臓脂肪が多い方・筋肉量の少ない方はインスリン抵抗
性が起こりやすくなります。

・インスリン分泌障害
インスリン分泌自体が少なくなることにより、ブドウ糖が細胞に運ばれず血液中に
あるため、高血糖状態となります。高血糖状態が続くと、血糖を下げるために膵臓
がインスリンを一生懸命作ろうとしますが、膵臓が徐々に疲労していくのでインス
リンを分泌する力が徐々に落ちていきます。

● 妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて確認された、糖尿病1歩手前の軽い糖代謝異常のこと
です。妊娠すると、胎盤から出るホルモンが影響してインスリンが効きにくくなり、
血糖値が高くなることがあります。また、妊娠中は軽い糖代謝異常でも母児に大きな
影響を及ぼすことがあるので、特別な配慮が必要となります。多くの場合、出産後に
戻りますが、妊娠糖尿病を経験された方は経験されていない方に比べ、将来の糖尿病
リスクが高くなります。
発症リスクを高める要因
先述した通り、日本人の糖尿病患者さんのほとんどは、遺伝因子と環境要因が影響し合
い発症する「2型糖尿病」です。
2型糖尿病の発症リスクを高める要因には、次のようなものがあります。
1 遺伝的要因
糖を細胞に送ることで血糖値を下げる作用を持つホルモン「インスリン」が遺伝的に
分泌されにくい方がいます。ただし、あくまでも「体質的になりやすい」だけで、必
ずしも糖尿病を発症するとは限りません。
2 加齢
加齢とともにインスリン分泌は減少していきます。また、筋肉量や活動量の低下・内
臓脂肪の増加などからインスリン作用の効果も落ちていきます。1歳年を取ると、男女
ともに発症リスクが2%上昇するという報告 *2 があります。
3 肥満
肥満になると、十分な量のインスリンが分泌されていても働きが悪くなり、血糖値が
下がらなくなります。BMIが1kg/m²増えると、男性・女性とも発症リスクは17%上昇
し、特に20代のときから5kg以上増えた場合にはリスクが2.6倍に上昇するという報告
*2 があります。
4 喫煙・飲酒
1日20本以上タバコを吸う方や1日1合以上飲酒する方は、しない方に比べて発症リス
クの上昇がみられたとする報告 *2 があります。特に女性の喫煙はしない方に比べ、約3
倍のリスクの上昇があります。
*2(参考)糖尿病リスクを高める要因は?|財団法人 国際協力医学研究振興財団
ほかにも、睡眠不足・疲労など不規則な生活習慣、精神的ストレスも、2型糖尿病の発症
に影響を及ぼします。
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糖尿病の症状
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文責
腎臓専門医
総合内科専門医 木村 仁志