糖尿病について

糖尿病の治療

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糖尿病の治療

糖尿病治療の柱となるのが「食事療法」「運動療法」です。生活習慣の改善を図りなが
ら、必要に応じて「薬物療法」を併用して、適正な血糖値を目指します。
適切な血糖コントロールは、高血糖による代謝異常を改善するだけでなく、命の危険に
繋がる合併症や増悪(ぞうあく:より悪くなること)を防ぎます。
さらに、健康な方と同じような生活の質(QOL)を保つことや、寿命を全うすることも
期待できます。
ただし、今のところ、糖尿病の特効薬はないため、根気よく自己管理を続ける努力が必
要となります。当院では無理なく治療を続けていけるよう、患者さんとよく話し合いな
がら、治療を進めています。治療に関する不安や疑問がありましたら、お気軽にご相談
ください。

1 食事療法

2型糖尿病患者さんに多くみられる「肥満」は、病状の進行や合併症の発症リスクを高
めます。
ご自身の目標摂取カロリー(適正カロリー)を知り、総エネルギー摂取量の適正化に
努めましょう。

<摂取カロリー量の目安>

摂取カロリー量の目安=「目標体重(kg)」×「身体活動レベルと病態によるエネ
ルギー係数」
※これまでBMI22を基準とした「標準体重」が使用されていましたが、最新の診療ガ
イドライン(2019年版)の中で、患者さんの年齢や病態によって異なることが考慮
された「目標体重」を使用することになりました。

● 目標体重 (身長×総死亡率が最も低いBMI値)

・65 歳未満: [身長(m)] 2 ×22
・65 歳から 74 歳: [身長(m)] 2 ×22~25
・75 歳以上: [身長(m)] 2 ×22~25

● 身体活動レベルと病態によるエネルギー係数(kcal/kg)の目安

・座位などの軽い労作:25~30kcal
・座位が中心だが、通勤・家事・軽い運動を含む普通の労作:30~35kcal
・力仕事・活発な運動習慣がある重い労作:35kcal~
(例)182cm、体重75kgの場合(数か月前の院長です)
目標体重=1.82×1.82×22≒73(kg)
普段は座位で診察をしているので……
1日の摂取カロリー量の目安=「目標体重」×「エネルギー係数」
=73(kg)×25(kcal/kg)
=1,825kcal

また、カロリー制限だけでなく、食べる順番・1日3回規則正しく食事を摂るなど「食事
の仕方を工夫する」だけでも血糖値は変わっていきます。
食事療法というと、難しそうに感じる方もいるかもしれませんが、あまり厳しくしすぎ
るよりも毎日の食事で少しずつ心がけることが、長続きするコツです。
当院では、管理栄養士に指導を受けた看護師と医師による栄養アドバイスを行っており
ますので、お気軽にご相談ください。

<食事療法のポイント>

● よく噛んで時間をかけて、ゆっくり食べる

  食べている間に少しずつ血糖値が上昇します。ゆっくり食べることで満腹中枢を
刺激して食欲を抑え、食べすぎを防ぐことが可能です。

● 食べる順番を考える

 1 食物繊維が多い食材や弾力性のある食材・殻付きの食材から食べる
     海藻・キノコ・野菜類など食物繊維が多いものや噛み応えがあるもの、消化
に時間がかかるものから食べると、食事に時間がかかるので食べすぎを防止
でき、満腹感が得られやすくなります。
 2 タンパク質を食べる
炭水化物よりも先に肉類・魚介類・卵類・大豆製品・乳製品などのタンパク
質を食べるとインスリンの効きがよくなるため、食後の血糖値の上昇を抑え
ることができます。
 3 炭水化物は最後に食べる
米・パン・麺類など炭水化物は最後に食べると、食後の血糖値上昇を抑えなが
ら満腹感が得られやすくなります。特に主食には雑穀米や玄米・押し麦などが
おすすめです。

● 間食は控えましょう。

  間食をするたびに膵臓がインスリンを分泌するために働きます。
  頻繁に間食を続けると、やがて疲弊して分泌能力が落ちて、血糖値の悪化につな
がります。

● 夕食は寝る3時間前までに!

2 運動療法

食事によって取り込んだエネルギーは、運動で消費することが大切です。2型糖尿病は
筋肉がつくことにより、インスリンの働きを活性化することが期待でき、1型糖尿病で
も運動はストレス発散や体全体の健全化に役立つなど、血糖改善・脂質代謝改善・血
圧改善・動脈硬化防止などの効果が期待できます。

<運動療法のポイント>

● 定期的に運動しましょう

運動習慣をつけることで、インスリンの効果向上や血糖改善に繋がります。

● 「楽でもないが、ややきつくも感じない」程度の運動を目指す

激しい運動よりも、きついと感じる手前の運動で十分です。
全く運動習慣がないという方でも少しずつ運動強度を上げていけばよいので、ま
ずは食後少し休憩してから家の周りの散歩(10〜15分程度)から始めてみましょ
う。軽い運動だけでも食後の血糖を十分抑えられます。

● 運動の前後には、準備運動・整理運動を行う

急な運動は怪我の元です。運動前には大きな動作で筋肉や関節をほぐして体を温
める準備運動をして、運動後には収縮した筋肉や関節を伸ばしてクールダウンさ
せるストレッチをするようにしましょう。

● 運動前・中・後には、しっかり水分を補給する

水分補給を意識的に行い、脱水症状に十分注意しましょう。

● 食事療法も忘れずに!

運動療法だけでは消費エネルギーはさほど多くありません。運動療法と食事療法
を組み合わせることで、血糖コントロールの効果が倍増します。
一緒に取り組みましょう。

3 薬物療法

生活習慣の見直しだけでは十分な血糖コントロールにならない2型糖尿病の方や1型糖
尿病の方には、血糖値を下げるために薬物療法(内服薬・注射薬)を併用します。
患者さんごとの病態(インスリン分泌能力の低下・インスリン抵抗性など)から総合
的に判断して、組み合わせて使用します。

(参考)糖尿病診療ガイドライン2019|日本糖尿病学会

● インスリンの作用を良くする内服薬(インスリン抵抗性改善薬)

-ビグアナイド薬……第一選択薬(最初に選択する薬)
メトグルコ®、グリコラン®など
※単剤使用では低血糖 *4 を起こしにくく、体重増加しにくいメリットがありま
す。ただし、高度な心臓・肝臓・腎機能の低下がある方は使用できず、高齢者
では脱水に注意が必要です。
*4 低血糖:血糖が下がり過ぎて、手足の震え、動悸、異常な空腹感、場合によっては意識障
害など引き起こします。その際は、速やかにブドウ糖・砂糖・ジュースなどで糖分摂取を行
う。

-チアゾリンジン薬
アクトス®など
※心不全の方、高度な肝・腎機能障害がある場合には投与できません。

● インスリンの分泌を増やす内服薬(インスリン分泌促進薬)

-スルホニル尿素薬(SU薬)
アマリール®、グリミクロン®、オイグルコン®、ダオニール®など
※血糖降下作用が強い反面、低血糖を起こしやすいため、高齢者では注意が必
要な薬です。また、高度な肝・腎機能障害がある方、1型糖尿病の方は使用で
きません。

-DPP-4阻害薬

エクア®、ジャヌビア®、グラクティブ®、ネシーナ®、トラゼンタ®、テネリア®、
スイニー®、オングリザ®、ザファテック®、マリゼブ®など
※食後高血糖に効果的な薬で、体重増加しにくいメリットがあります。ただし、
SU薬やインスリン製剤と併用する場合、低血糖に注意が必要です。

-速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

シュアポスト®、スターシス®、ファスティック®、グルファスト®など
※食直前(食事をする直前5~10分前)での服用となります。食後では十分な
効果が得られず、食事30分前の服用では低血糖リスクが高くなるので要注意。

-GLP-1受容体作動薬
ビクトーザ皮下注®、ビデュリオン皮下注®、バイエッタ皮下注®、リキスミア
皮下注®、オゼンピック皮下注®、トルリシティ皮下注®(週1回投与でOK)
※空腹時や食後高血糖の改善に効果的な注射薬です。食物摂取によって腸管か
ら分泌されるホルモン(GLP-1)に作用する薬として、食事摂取に反応してイ
ンスリン分泌を促進させるため、低血糖になりにくいメリットがあります。ま
た、食欲抑制による体重減少や血圧低下・脂質改善作用も研究で報告されてい
ます。

● 糖の吸収と排泄を調節する内服薬

-αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
セイブル®、ベイスン®、グルコバイ®など
※1型糖尿病の方でも使用可能な薬ですが、食直前の服用が重要です。下痢、
便秘、放屁、腹部膨満などの腹部症状がみられることがあります。

-SGLT2阻害薬
フォシーガ®、ジャディアンス®、スーグラ®、ルセフィ®、デベルザ®、カナグル®など
※比較的新しい薬で、尿に糖を強制的に排出させます。血圧や脂質代謝、心血
管疾患に良い影響を与えるとする研究報告 *5 がされています。
ただし、高齢者、腎臓機能の低下がある方、利尿剤を使用している方は、脱水
や血栓・塞栓症などに注意が必要です。
*5 (参考)糖尿病診療ガイドライン2019 P.78

● インスリンを体外から補う注射薬(インスリン製薬)

ノボラピッド®、ヒューマログ®、アピドラ®、ノボリン®、ヒューマリン®、
トレシーバ®、レベミル®、ランタス®など
※作用が現れ始める時間や持続時間など様々な種類の薬があります。患者さんに
よって使用する製剤や回数、量は異なります。
糖尿病のお薬は自己判断で中止したり、減量したりすることは危険です。
お薬の副作用や服用方法など気になる点がある場合には、医師またはスタッフまでお気
軽ご相談ください。

文責

腎臓専門医
総合内科専門医                            木村 仁志


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