高尿酸血症の原因
痛風の原因となる尿酸がつくられる仕組み
痛風は「プリン体」からつくられる
痛風とは簡単に言うと「尿酸値が上昇して関節炎を引き起こす病気」です。この尿酸の元になるものがプリン体と呼ばれる物質です。プリン体のプリンとは、プリン環と呼ばれる化学構造を持つ物質のことをいいます。プリン体が我々の体内で分解されると尿酸という物質ができるわけです。我々の体内にあるプリン体は、大きく分けると二つあり、一つは食べ物や飲み物に含まれているプリン体を摂取する場合、もう一つは体内で作られる場合です。実は、食物として取り込まれるプリン体はそれほど多くなく、大部分が体内で作られているのです。
どのようにプリン体ができるのか
我々の体は約60兆という細胞の数で構成されていますが、細胞内の核に含まれている核酸という物質にプリン体が含まれています。我々の細胞は常に古い細胞が壊され新しい細胞が作られる、いわゆる新陳代謝が起こっていますが、古い細胞が壊されるときに、核さんも分解されてプリン体が作られます。
また、我々の体内には運動や代謝などの活動に利用されるATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー源があり、激しい運動などによって大量にATPが消費されると、このATPが分解されてプリン体が産生されます。
尿酸を分解できないのは人間だけ?
このように摂取したり、体内で作られたプリン体は肝臓で分解されて尿酸になるわけですが、我々はこれ以上尿酸を分解することができません。汗や尿などから排泄するしかないわけです。実は人間などの霊長類と鳥類や爬虫類の一部を除くほとんどの哺乳類や魚類は尿酸をさらに分解する酵素を持っています。我々人間も、かつて尿酸を分解する酵素を持っていたのですが、進化の過程でその酵素をなくしてしまったと考えられています。
尿酸の生産と排泄
体内には尿酸をためておくプールがある
痛風の原因である尿酸ですが、尿酸がつくられること自体は細胞が正常に活動している証拠であり、尿酸が正常に生産・排泄されていれば、健康上は何の問題もありません。健康な人の体には、常に1200mg程度の尿酸が蓄積されているといわれていますが、この体内にたまった尿酸を「尿酸プール」とよびます。
この1200mgのうち1日に約700mg程度が尿や汗として対外に排泄されます。一方これと同じ量の尿酸、約700mgが毎日新たにつくられ、尿酸プールに蓄積されます。尿酸を作るのは主に肝臓で、摂取した食物から約100~150mg、体内から約550mg~600mgほどの尿酸を作っているとわれています。
ところが、このバランスが崩れて尿酸がつくられすぎたりうまく排泄されたりしないと、尿酸はどんどんたまり続け、尿酸プールはあふれてしまいます。
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文責
腎臓専門医
総合内科専門医 木村 仁志