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高尿酸血症の生活指導

高尿酸血症・痛風の治療における血清尿酸値の管理は、薬物治療の選択肢が増えたことにより以前より管理が容易になったとはいえ、高尿酸血症・痛風は代表的な生活習慣病であり、生活習慣の是正はとても大切です。

栄養食事療法の原則

  • 肥満解消を目指しましょう。
  • 肥満、脂質異常症、糖代謝異常を合併している場合が多いため、摂取エネルギーを適正にしましょう。
  • 痛風を発症したことがある場合は、プリン体含有量の多い食品は控えましょう。
  • アルコール飲料は、プリン体をあまり含まなくても、代謝の関係で血液中の尿酸値を上昇させます。そのためアルコールの過剰摂取は避けましょう。
  • 腎臓からの尿酸の排泄量を増加させるために十分な水分量を補給しましょう。1日2,000ml程度の水分量をとることが望ましいです。
  • 尿pHをアルカリ性に保つことが大切です。
  • 合併症がある場合は合併症の治療も併せて行いましょう。

献立・調理のポイント

  • 食品100g当たりプリン体200mgを含む高プリン食を極力控え、1日プリン体400mgを超えないようにしましょう。
  • プリン体は油には難溶性ですが、水には溶けやすいので、たっぷりの水でさらしたり、茹でるなどの調理を心がけましょう。
  • 魚類や肉類の骨髄からとったスープにはプリン体の含有が多いので、これらスープ、あるいはそのスープを用いた料理は控えましょう。
  • バターや生クリーム、ラードなどの動物性脂質は避け、植物性油を使用し、控えめにしましょう。
  • フライや天ぷらなど、揚げ物は控えましょう。
  • 脂質を多く含む肉は網焼きにして油を落としましょう。また、ゆっくり煮込んで冷蔵庫で一度冷やすと脂質が固まるため、その脂質を取り除きやすいです。

適した食品、適さない食品

適した食品

野菜、海藻類:尿のpHをアルカリ性に保つために、野菜、海藻類を積極的に摂取しましょう。

プリン体含有量の少ない食品:穀類、パン、麺類、イモ類、牛乳・乳製品、鶏卵、うずら卵、水産練り製品、ソーセージ、魚卵類、豆腐、野菜類、サラダ油、きのこ類、海藻類など

適さない食品

プリン体含有量の多い食品:レバーなど動物の内臓類、イワシ類、大正海老、スルメイカ、車海老、オキアミ、さんま干物、まいわし干物、あじ干物、かつお、かつお節、かき(貝)、にぼし、干し椎茸など

果糖:果糖の過剰摂取は尿酸値を上昇させ、体重増加にもつながります。果実類やはちみつなどは取りすぎないようにしましょう。

炭酸飲料など:水分補給のためにジュースや炭酸飲料、砂糖入りの珈琲や紅茶などを多く摂取することはキシリトールや果糖、エネルギーの摂取が増えるので好ましくありません。水分補給は普通の水、お茶、ウーロン茶、砂糖抜きのコーヒーや紅茶にしましょう。

アルコール:1日200kcal程度に控えましょう。ビールは多量のプリン体を含有し大びん3本で日本人1日当たりのプリン体総摂取量に匹敵します。また他の酒類よりも高エネルギーのため、肥満にもなりやすくなります。

  • ビール…350ml(小ビン1本)
  • 日本酒…180ml(1合)
  • 焼酎…120ml(2/3合)
  • ワイン…200ml(グラス1杯)
  • ウィスキー…60ml(ダブル1杯)

運動の推奨

過度な運動、無酸素運動は血清尿酸値の上昇を招くため避けましょう。

有酸素運動は、血清尿酸値に影響せず、メタボリックシンドロームなどの合併症にも効果があります。

適正な体重(BMI<25)を目標にして、週3回程度の軽い運動を継続して行いましょう。運動は継続することが何より大切です。できる範囲のことから始めてみましょう。また、肥満の方は、事前に心臓の機能を確認した方が安全に運動を実施できます。運動時、大量の発汗をすると血中尿酸値は上昇するため、運動前、運動中、運動後に水分補給を行い脱水を予防することも大切です。

記事執筆者

きむら内科小児科クリニック

院長 木村仁志

資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • なごや認知症安心安全プロジェクトもの忘れ相談医(登録かかりつけ医)
  • 日本ACLS協会 BLSヘルスケアプロバイダーコース修了(平成27年7月)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了(平成27年9月)
  • こどものみかた小児T&Aコース修了(平成27年10月)
  • かかりつけ医認知症対応力向上研修終了(平成28年11月)
  • かかりつけ医等心の健康対応力向上研修終了(平成28年11月)
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本透析医学会
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本抗加齢医学会