当院は、日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2019に準拠した検査を行っています。
問診や血糖値検査・尿検査のほか、必要に応じた検査を組み合わせて行い、糖尿病の状態・合併症の有無などについて調べます。
※全ての検査を初診時に行う訳ではありません。
自覚症状の有無、体重歴(特に過去最大体重と20歳時の体重)、既往症(高血圧/脂質異常症など)、喫煙・飲酒・運動などの生活習慣、「ご家族に糖尿病の方はいるか?」など、詳しくお伺いします。
採血をして、血糖値とHbA1c値 *3 を測定します。血糖値検査には、3つの方法があります。
*3 HbA1c値:「ヘモグロビン・エー・ワン・シー」と読み、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合のこと。高血糖状態が続くと増えることから糖尿病リスクの判別に利用される。また、値から1~2か月前の血糖の状態が分かる。
血糖値は食事の影響を受けるので、食事前の空腹のときの血糖値を測定します。検査は、当日の朝食は取らずに前日の夕食から約10~14時間絶食後に行うことが多いです。この空腹時血糖は、インスリンの働きの指標となります。
糖尿病を示す空腹時血糖値は126mg/dL以上です。
食事時間とは関係なく測定します。測定値から食後血糖値の推移が判断できます。
糖尿病を示す随時血糖値は200mg/dL以上です。
HbA1c値5.6~6.4%の方が対象空腹時に75gのブドウ糖水を飲み、30分後、1時間後、2時間後の血糖値・血中インスリン濃度を測定します。
※検査液はとても甘いサイダー味です。
糖尿病を示すブドウ糖負荷試験2時間値は200mg/dL以上です。
これらの血糖測定検査では、血糖値測定の2回分(日にちをあけて測定)、または血糖値とHbA1cの両方が糖尿病を示す値であれば、糖尿病と診断されます。基本的には日にちをあけて2回測定しますが、同じ採血で血糖値とHbA1c の両方が糖尿病を示す値であれば1回で済ませることもあります。
尿中の糖を調べます。血糖値がかなり高くなる(160~180mg/dl以上)と、尿に糖が出ます。また、糖尿病の合併症(糖尿病性腎症)の評価も行います。糖尿病の腎障害では尿にタンパクが出るようになります。
尿糖による血糖の推移を確認できたり、合併症の早期発見・治療が行えたりするため、定期的に尿検査を行います。
また、次のような糖尿病合併症の検査を行う場合があります。
両腕と両足首の4か所の血圧を同時測定し、「動脈硬化」の状態を調べます。高血糖が続くことによる足の血流障害が起こると、足が壊疽する(えそ:組織が腐ってしまう)ことがあり、最悪の場合、足の切断が必要になることもあります。
頸動脈とは「首の動脈」のことで、動脈硬化を起こしやすい部分です。血管壁の厚さ・プラーク(血管壁の一部が盛り上がったところ)を超音波で確認して、脳卒中・心筋梗塞リスクを調べます。
高血糖状態が長期間続くと、腎臓でろ過の働きをする糸球体(しきゅうたい)が障害を受けて、たんぱく尿が出るようになります。尿中微量アルブミン検査は、尿蛋白の主成分「アルブミン」を微量でも検出できるため、通常の尿検査よりも早い段階での「糖尿病腎症」の発見が可能な検査です。
自覚症状が少なく、成人の主な失明原因のひとつとなっている「糖尿病網膜症」を調べます。十分な血糖コントロールや生活改善とともに、早期発見・早期治療を行うことで網膜症の進行を防ぐことが期待できます。
糖尿病の検査の中で、一番重要なのは血糖値の検査です。血糖値の検査を2回実施して2回とも糖尿病を示す値があれば糖尿病という診断ができます。
また、血糖値の検査で1回糖尿病の判定であっても、糖尿病の典型的な症状である「口渇」、「多飲」「多尿」「体重減少」や、眼底検査の結果として糖尿病性網膜症とわかれば、それで糖尿病という診断になります。また、過去に糖尿病と診断されたことのある方は、血糖値が基準値を下回ったとしても、その既往歴をもって、糖尿病の方として対応が必要となります。