脂質異常症は、健康診断・人間ドック、他の病気の検査として血液検査を行った際に発見されることが多い病気です。健康診断等の結果をお持ちの場合には、ぜひご持参の上受診することをおすすめします。
当院では、初診時には問診と血液検査を原則的に行います。必要に応じて、動脈硬化を調べる検査などを行うことがあります。
自覚症状の有無、体重変化、既往症のほか、喫煙・飲酒・運動などの生活習慣、「ご家族に脂質異常症や脳梗塞・狭心症の方はいるか?」など、詳しくお伺いします。
もっとも、脂質異常症は自覚症状がないことが大半ですが、動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞などの心疾患や、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患に発展している場合は症状として現れることがありますので、しっかりと確認します。
ご家族に動脈硬化の病気があるかどうかも重要な情報です。多くはありませんが、家族性の高コレステロール血症は300人に1人程度いるといわれています。
血液検査では、「HDL-コレステロール」「LDL-コレステロール」「中性脂肪」「non-HDLコレステロール」の値を確認します。以下のいずれかの場合、脂質異常症と考えられます。
かつて、脂質異常症は「総コレステロール値」という指標だけでした。しかし、総コレステロール値はその名の通りコレステロールの総合量のため、HDLコレステロールも含まれます。HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑える役割があり、HDLコレステロールが多いことは基本的に良いとされています。こうしたことを踏まえて、「LDL(悪玉)コレステロールが多い場合」、「HDL(善玉)コレステロールが少ない場合」、「中性脂肪が多い場合」という3つに分けて、いずれかに該当すると脂質異常であるとされました。
なお、血液検査の数値は受ける前の数日間の生活や健康状態によって変化します。健診結果により脂質異常を指摘された方でも、脂質異常が突発的なものか、日常的なものかどうかを確認するために、再度、採血による血液検査を行います。
※健診結果などがない場合には、判別のため2回目の受診時に再度血液検査を行います。
初診時に必ず行うわけではありませんが、ご本人と相談の上、ご希望に合わせて次のような動脈硬化を調べる検査を行うことがあります。
※必要に応じて、対応可能病院をご紹介させていただきます。
脂質異常症には、糖尿病などの基礎疾患や薬剤が原因となって発病している「続発性脂質異常症」と遺伝子異常などの素因がある中で生活習慣などの環境因子が影響して発症している「原発性脂質異常症」があります。 原発性脂質異常症の場合、一部の患者さんで、黄色腫と呼ばれるコレステロールが沈着した黄色っぽい隆起が、手の甲やひざ、ひじ、まぶたなどに見られます。そこで、診断では、血液検査のほかに、アキレス腱や手の甲、ひざ、ひじ、まぶたなどの厚さと、色・形が異常になっていないかを調べます。原発性脂質異常症の多くは遺伝性ですので、ご家族の中に家族性高コレステロール血症の方がいるかという点も重要です。こうした検査や尿検査で詳しく調べることにより、病態にあった治療を行います。