家庭血圧を管理しておくことは、高血圧の病態を正確に診断する材料や治療効果を高めることにつながります。
- 血圧計は?
- 上腕に巻くタイプの血圧計がおすすめ
※手首での計測は不正確になりがちです - いつ測る?
- 起床後1時間以内(排尿後+朝の服薬前)と夜(就寝前)、座って1~2分安静にしてから
- 何回測る?
- 原則2回測り、平均値を取る
- 何日測る?
- 高血圧患者さんは、できる限り続ける
※高血圧診断・降圧薬の効果判定の場合には7日間(最低5日間)
日本高血圧学会の診断基準では、正常血圧を120/80mmHg未満(診察室血圧)と設定して、次のように高血圧を定義しています。
何度か測定して、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上
5~7日間測定した平均値で、最高血圧が135mmHg以上、または最低血圧が85mmHg以上(※家庭血圧は診察室血圧よりも5mmHg低い基準を用いる)
近年はご家庭での血圧測定も一般化されてきており、家庭血圧の診断基準も確立されているため、高血圧の診断は診察室血圧と家庭血圧の総合的な判断によって行われます。
家庭血圧はご自宅でのリラックスした環境の中で測定した血圧となることから、「普段の血圧」を一番反映しているものと考えられています。
そのため、家庭血圧と診察室血圧に差があった場合には、家庭血圧による診断を優先します。
なお、家庭血圧では正常値でも、病院で測ると緊張して血圧が高くなってしまう場合を「白衣高血圧」と呼びます。一方、診察室血圧が正常値内でも診察室以外での血圧が高血圧を示す「仮面高血圧」もあります。仮面高血圧には、血圧が上昇している時間帯によって次のように分類されます。
早朝の家庭血圧平均値135/85mmHg以上、脳心血管病リスクが高い
日中のABPM (*2) 平均値が135/85mmHg以上、精神的・身体的ストレスの影響大、肥満・高血圧家族歴がある方に多くみられる
(*2) ABPM:24時間自由行動下血圧測定。一日の血圧変動を知ることで、降圧剤効果測定や診察室血圧・家庭血圧では知ることができない仮面高血圧などの血圧情報を調べることが可能。
夜間のABPMや家庭血圧の平均値が120/70mmHg以上、脳心血管病リスク大、認知・身体機能の低下と関連性がある。
ただし、診察室血圧が120/80mmHg以上(正常高値血圧以上)の場合、血圧が高くなるにつれ脳心血管疾患の危険性や将来的な高血圧への移行確率が高まるという調査結果 (*3) が国内外で報告がされています。
血圧が高くなってきたら放置せず、まずは生活習慣の改善など今できることから始めましょう。
(*3) 参考)高血圧治療ガイドライン2019 P.18|日本高血圧学会
家庭血圧を管理しておくことは、高血圧の病態を正確に診断する材料や治療効果を高めることにつながります。
正常高値血圧:診察室で上が120~129mmHgで下が80 mmHg未満
高値血圧;診察室で上が130~139mmHg、下が80~89 mmHgのいずれかに該当する血圧です。
かつては、上の血圧値はいずれも正常の範囲内として考えられていました。しかし、現在ではこれらはいずれも高血圧の予備軍で、いわば「高血圧には該当しないけれど、正常とも言えない」範囲の血圧です。こうしたギリギリの範囲の血圧の方は、120/80mmHg未満に比べて脳卒中が起こる可能性が高いと考えられています。ですので、正常高値血圧や高値血圧に該当する方は、薬を飲む対象ではありませんが、食事の塩分やアルコール、喫煙などに気をつけて、積極的に有酸素運動をするのが良いでしょう。
病院では低く、早朝の自宅血圧が高い「仮面高血圧」といわれる人もおられます。最新の研究結果では、この仮面高血圧の方が怖いと言われています。自宅で測る通常の血圧値が治療の目安となりますので、測り方も十分注意しましょう。